付け焼刃の「働き方改革」対策
第2回 法改正の意図は?
株式会社フォーサイツコンサルティング/
執行役員
五十嵐 雅祥
五十嵐 雅祥
(一財)レジリエンス協会幹事。1968年生まれ。外資系投資銀行、保険会社勤務を経て投資ファンド運営会社に参画。国内中堅中小製造業に特化した投資ファンドでのファンドマネジャーとしてM&A業務を手掛ける。2009年より現職。「企業価値を高めるためのリスクマネジメント」のアプローチでコンプライアンス、BCP、内部統制、安全労働衛生、事故防止等のコンサルティングに従事。企業研修をはじめ全国中小企業団体中央会、商工会議所、中小企業大学校等での講師歴多数。
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□事例 働き方改革で振り回される企業
2019年4月1日、前年7月に成立したいわゆる「働き方改革関連法」が施行されました。この4月からは大企業のみの適用ですが、2020年4月からは中小企業も対象になることが決定しています。
季節家電用部品の製造を行っている中小企業社長のAさんは、来春から自社にも適用になる働き方改革について、どのように対応したらいいのか途方に暮れています。というのも、Aさんの会社では、季節家電用部品製造という性格上、時期によっては従業員に残業を強いることも多いからです。「残業に罰則付きの上限が設けられた」とのことですが、Aさんの会社の社員の残業時間はその上限を超えてしまうこともあるため、「違反企業や労務担当者には6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科す」という法律の内容は、他人事ではありません。
「上限の残業を超えないように人を新たに雇用する」というのも繁忙期を除けば現実的ではありませんし、有期雇用者を雇うにも、新法律では「同一労働、同一賃金」の原則があるため、人件費を抑えることにはつながりそうもありません。だからといって、残業をしない程度に受注量を制限することなどできるわけがありません。結局、仮に残業代を青天井で支払ったとしても、今の社員に働いてもらう方が会社全体のコストが一番安上がりになるだろうとの結論に至りました。
経営者としてAさんは、「利益を確保するために繁忙期は上限時間以下での残業記録を社員にお願いする代わり、繁忙期以外の残業代の水増しで乗り切るしかない」と思っているようです。
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