第66回:壊滅的な大規模停電に対する米国の国家戦略
NIAC / Surviving a Catastrophic Power Outage
合同会社 Office SRC/
代表
田代 邦幸
田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より複数のコンサルティングファームにて、事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。一般社団法人レジリエンス協会 組織レジリエンス研究会座長。BCI Approved Instructor。JQA 認定 ISO/IEC27001 審査員。著書『困難な時代でも企業を存続させる!! 「事業継続マネジメント」実践ガイド』(セルバ出版)
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今回紹介する報告書『Surviving a Catastrophic Power Outage』(壊滅的な停電からの生存・存続)は、米国のNational Infrastructure Advisory Council(NIAC)が2018年12月に発表したものである。
NIACは米国国土安全保障省(DHS)(注1)に置かれている、国家のインフラに関する米国大統領の諮問委員会であり、大統領からの要求に基づいて、重要なインフラにおける物理的セキュリティやサイバーセキュリティに関する調査や、セキュリティおよびレジリエンスの向上のための解決策を提案することを使命としている。
調査はDHSやFEMA(注2)、軍関係などの公的機関や、電力会社を始めとするエネルギー関連企業などのキーパーソン65名へのインタビューと、米国における既存の対応計画や関連法規、対応体制などのレビューに基づいて行われている。
調査結果から、現在の国の対応計画や対応体制(およびそのための資源)やコーディネート戦略は、壊滅的な停電に対して不十分であるという結論に達しており、これを踏まえて本報告書では、「壊滅的な停電のための国家的アプローチをデザインする」および「セクター間の相互依存性と連鎖的な障害(cascading failure)を減らす」という2つの観点からの提言がまとめられている。ここで「セクター」とはインフラを構成する電力、石油・天然ガス、通信、金融、上下水道、交通を指す。
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