さて、IFEガイドラインの全体像に話を戻します。

もうすでにたくさん書いた気がするのですが、実はここからが本題なのです。

1の項目である、WHO「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」から順に説明します。冒頭の質問の答えをまだすべてお答えできていませんが、また来週お読みいただければうれしいです!

最後に、最初に書いたなぜこの問題で苦しくなる人がいるのか、なぜ母乳対ミルクの対立構造にしてはいけないのか、ご興味がある方は以下もお読みください。

ミルクで子育てをしていると、なぜ母乳にしないのと言われて、母親失格とでもいわんばかりの人格攻撃がなされる事があったりします。また、母乳で育てていても、母乳が足りないのでは?とか、ミルクを足さないから赤ちゃんが泣いているのよと、赤ちゃんはただ、夕方になるだけで泣くこともあるのに責められる事があります。実は子育てだけでなく、なぜ結婚しないの?なぜ子どもを産まないの、なぜこどもは1人なの?なぜ手作りごはんを作らないの?なぜこどもを保育園に預けるの?と、いわば、生きているだけで、責める側が理想としている女性像と比べ「あなたは足りていない」攻撃に常にさらされている悲しい現実があります。リプロダクティブ・ヘルスといわれる自己決定権は全く尊重されていません。そのため、心に大きな傷を負っている方も少なくないのです。でも、子育てに関しては、子どもが大きくなることでその時期がすぎてしまうので、傷を癒す事なく忘れている場合があります。ちゃんと癒していないために、「ミルク」「母乳」という話題が出てくるだけで、トリガーとなり、いままでの傷が激しくあふれてきてしまう場合があるのです。話題が出るだけで涙や怒りが止まらない方もいます。一体、どれだけ苦しい思いを感情の奥底深く、溜め込まざるをえなかったのだろうと思います。
今回、書いた内容は、それまでみなさんがされてきた子育て方法を非難するものでは一切ありません。ミルクで育てても母乳で育てても、頑張っても、頑張れないと思ったとしても、あなたの人格を否定しないことをお約束します。自己肯定感を極限まで下げられる、ひどい言葉を投げかけられてきた過去の心の傷がわきあがってきたら、どうかご自分を大切にしてください。信頼できる方に相談するのも大切です。そして、上記、そして来週からの話は、あくまで、すべての親子を災害時の困難から守るための手段の検討として、あなたの傷とは別の話として考えていただければうれしいです。でも、根本は、当事者が大切にされないから起こりうる根深い問題なのです。だから、この問題はミルク対母乳の対立構造の問題では全くないのです。同じ問題をどう解決するかわかちあえるという仲間であるのに、ばらばらに対立させられてしまっている、それをしっかり直視して、解決を図ろうという問題提起でもあります。来週もよろしくお願いいたします。

(了)