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3 情報の共有はホワイトボードで 

 

災害直後から多数入ってくる情報を、どのように整理していくか、そのポイントを示すと次のようになります。 

①情報を一元的に集約する「情報班」を定め、対策本部長の直轄部門として位置付ける 

②すべての情報は、「情報班」が時系列にホワイトボードに記載する(またはメモを貼付する) 

③報告事項は、情報収集受理時刻、相手方、発信区分(問い合せか、相手からの発信か)、情報媒体(ラジオ、電話等)、情報の概要と受信者を明記する 

④情報の記載に当たっては、緊急的対応が必要なものを「赤」で、その対応状況については「青」で、その他は「黒」で記載すると、現時点の緊急性が一目で明らかになる 

⑤記載した情報はデジカメで記録する。記載欄がなくなった場合は、緊急事態とその対応状況のみのこし、他の事項は消していく

ホワイトボードへの記載は、誰もがすぐにできるものではありません。上の写真は、ある保育園で訓練結果をふまえ、平常時に掲示している裏面を利用し、あらかじめ災害時の記載項目を定めているものです。

また、リスク対策.comで販売している「災害時情報書き消しボード」は、次のような特徴を有しています。

○マップなどのデザインが自由自在にできる
○Aゼロサイズ内で、自由にレイアウト可能
○ホワイトボード機能を有しているので、書いたり消したりできる
○保管が容易で、長期保存ができる 

特に、行政の対策本部で不可欠な「行政管内図」や企業、施設および病院などで使用する「フロア図」などは、あらかじめ「災害時情報書き消しボード」として用意しておくと便利です。

4 情報のトリアージ 

災害直後に入ってくる情報にはさまざまなものがあり、時には信憑性の少ないものや、デマも混在していることから、必要な情報を短時間で取捨選択し、対策本部に上げることは、大変難しいものです。全ての情報を何の基準もなく上げることになれば、それを見るだけで相当の時間を要するし、必要な情報が担当者の中で止まっていれば、判断時期を逸し、後々大きな問題になります。そこで、情報のトリアージが必要です。 

トリアージ(Triage)とは、選別という意味で、多くは災害医療の現場で使用され、多数の傷病者を重症度と緊急性により、治療の優先度を決定することをいいます。 災害時の情報も、最初に受けた担当者(フロア責任者または記録班)が行うトリアージに加え、情報班責任者による第2次トリアージを行い、真に必要な情報のみを、対策本部に上げるようにします。

また、トリアージの判断基準も時系列に応じて変化していきます。最初は、人命にかかわること(負傷者への対応、火災発生やエレベータ内閉じ込めの有無、建物倒壊の恐れの把握)、次に、2次災害防止のための立入禁止の措置、さらに時間経過とともに来客者と従業員の安否状況、建物内に留まる際の照明、トイレ、水・食料、毛布等の確認、建物内の清掃等へと移っていきます。

5 トリアージに基づく判断

さまざまな情報の中からトリアージして上がってきた情報に基づき、対策本部では各種対策を決定し、直ちに全従業員に周知するとともに、関係者へ連絡することになります。その際、特に留意しなければならないことは、次の通りです。

○情報発信の責任者は、原則として対策本部長とするなど、一元的な取扱いをします
○本部が各種対策を検討する際の情報と、決定後の全従業員に周知する情報とを分けて整理します
○全従業員に周知した後(または同時に)関係者へも情報、発信します
○発信する情報には、発信者、発信時刻、相手方、取扱い(「社内限り」、「関係者への通知事項」等)を記載しておきます
○対策本部として最初に行う決定事項は、「建物内に留まるか、建物外へ避難するか」であり、短時間(原則30分以内)に行うことが重要です

参考文献
「想定外を想定する危機管理」(2011年10月)
「高齢者福祉施設におけるBCP訓練ガイドライン」(2013年2月)
「保育園における震災時対応ガイドライン」(2014年1月)
「実践的なBCP訓練の進め方」(2014年2月)

(了)