IHIの最新X線検査機による3D画像。従来(左上)より中身がはっきりわかる

IHIやSCSK、アスクルなど東京都江東区の豊洲地区にある20社で構成する「豊友会(ほうゆうかい)」は15日、今年度第2回の見学会・連絡会を豊洲にあるIHI本社で開催。同社の製品・技術を展示した「IHIフォーラム2018」の見学のほか、連絡会では日本ユニシスから2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた情報共有掲示板の実証実験報告が行われた。

豊友会は豊洲地区にある様々な業種の20社が参加。BCP(事業継続計画)や帰宅困難者対策、防災、地域社会との情報交換についての取り組みで連携している。IHIフォーラムでは災害対策やセキュリティ対策など幅広い分野の危機管理に関する製品・技術を展示。災害対応ではバックホウ(油圧ショベル)の運転を行うロボットを展示。運転席にロボットを置き、そのロボットを遠隔操作することでバックホウを動かす仕組み。安全な場所から操作することができる。

自律航行し、通信も可能な警戒監視型水中無人機

五輪で注目されるテロ対策では人が通過する際に風を当て、除去された物質を吸引する機能を組み合わせたCBRN(有毒化学剤、生物剤、放射性物質、核兵器)の脅威をセンサーで検知し、迅速に警報を発令するCBRN早期警報システムのほか、手荷物検査用のX線検査装置を展示。手荷物の中身を3D表示し、立体的にわかりやすく見せる最新X線CTシリーズの技術も紹介された。また、警戒監視型水中無人機(AUV)は水中の不審物や不審なダイバーの侵入などを搭載されたソナーや監視カメラで検知し、取得データや画像を管制センターへと通信するものである。映像ではAUVを活用した将来の警備システムについて紹介された。将来、臨海部での大型イベントなどの警備での活用が期待される。

連絡会では日本ユニシスによる掲示板の実証実験が報告された

連絡会では日本ユニシスが掲示板の実証実験報告を行った。豊洲は五輪バレーボール会場の有明アリーナなどが近く、ゆりかもめと東京メトロ有楽町線の乗り換え地点でもあることから大会期間中の混雑が予想される。このため同社では7月23~27日の4日間、ネット上に掲示板を設置。豊友会所属企業7社とそのほかの2社により、PCやスマホから豊洲の現況を掲示板に書き込む実験を実施した。五輪を想定し、駅や飲食店の混雑具合や人の流れといった情報が46件投稿された。

参加企業へのアンケートでは「豊洲周辺というピンポイントな情報をリアルタイムで共有できるのは有益」「災害時の情報共有にも活用したい」「通勤時間調整など混雑緩和に役立つ」などの意見が寄せられた。大会期間中の公共交通や道路の混雑、事故・テロなどの豊洲の企業・団体間での情報共有のため、日本ユニシスではプッシュ通知やさらに細かい地域別情報といった改良やさらなる実証実験を計画している。

また、防災の備えに関する各社の取り組みについて17社が報告。概ね3日間の従業員の備蓄は行われている。回答が割れたのは一斉帰宅の抑制で、「滞在を推奨するが最終的には本人の意思を尊重」という旨の回答が6社。この中には「帰宅する社員には申請書を記入させ、備蓄品を配布する」という回答もあった。さらに「原則滞在させる」のほかに「災害対策本部で帰宅可否を判断。可能と判断した場合は方面別にグループ化して帰宅者名簿に記入させる。その後に安否確認システムで帰宅状況確認を実施する」「自己責任で対応」といった回答も寄せられた。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介