2018/09/14
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
災害後に「赤紙」が貼られても住めない家の判定ではありません!
「住家被害認定」で「全壊」となったら・・支援金がもらえる!
さて、「住家被害認定」で「全壊」となったとします。この段階で、「もうダメだ?住めない!」ってことなのでしょうか?これも違うんです。この全壊は、あくまで、「支援金がもらえるかどうか」の基準となる全壊です。
で、住めないかどうかの判定は、恒久的にこの家に住み続けられるかを判定する「被災度区分判定」なのです。これは、民間の建築士の方が被災した家の詳細をチェックします。そして、「軽微」「小破」「中破」「大破」などと区分するとともに、復旧の要否を判定します。「全壊と大破は違う」とか言われても、「?」と思いますけどね。
迅速な支援金配布を可能にするため、一律に全壊認定することもあるので、住めないかどうかとは違うと知っておいてくださいね。
西日本豪雨の被災地、倉敷市では真備町の住宅、約21000棟を一括して、「全壊」認定しています。サンプルで調査したのは20棟だけです。東日本大震災などでり災証明がなかなか出されず、被災者が苦労された経験がいかされています。被災した日から計算して19日でスピード認定したのは、大変な中、関係者の方が頑張ったのだなと思います。
■真備の2千棟を一括「全壊」判定…倉敷市、新指針を活用(産経West)
https://www.sankei.com/west/news/180725/wst1807250066-n1.html
だから、全壊でも涙はいりません!でも、いろいろ制度は複雑で混乱しちゃいますね。そんな、被災した方に是非使っていただきたいものがあります。それは日本弁護士会連合会が発行している「被災者生活再建ノート」です。

日本弁護士会連合会のサイトからダウンロードができます。
■被災者生活再建ノート(日本弁護士連合会)
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/img/20180208_hisaishanote.pdf
中を注目してみてください。

さきほどの「り災証明書」は生活再建の様々な支援の支給に使われるのですが、その時の認定基準は全壊、半壊、一部損壊など家の損壊が基準になっていました。でも、被災して困るのは家だけじゃありませんよね。家がなんともなくても、解雇されたとか、家族を失ったとか、被害や困りごとはたくさんあるのです。
過去の災害で集められた困りごとを元に、書き込んでいくだけで自分が困っている事は何になるのか、どんな制度を利用すればいいか、頭を整理するのに使えます。

お金の悩みも住まいの悩みも、事業の悩みも書き込めるようになっていて、それぞれの制度の解説もふりがなつきで書かれています。ふりがながないとさっぱりわからない言語も多いですよね。先ほどの「住家 じゅうか」も、実は私、このシートで読み方を知ったという・・。
手元にお金を残して、家や車、教育ローンの免除や減額が受けられる、被災ローン減免制度についてもふりがな付きで解説されてます。

アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/25
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方