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国連が認定する排出権の源泉は、クリーン開発メカニズム(CDM: Clean Development Mechanism)です。イギリスの排出量取引制度は、2002年4月より実施されています。EUの排出量取引制度は、2005年1月に導入され、開始時は25のEU加盟国が参加し、その後2007には28カ国、2013年には31カ国が参加しています。この制度は、EU独自のCO2排出量制度の国際標準化を目標としている点が特徴です。第15回に引き続き、国連、イギリス、EUの排出量取引制度のしくみと動向を紹介いたします。

(1) 各国の排出量取引制度の動向  

各国の排出量取引制度の主な動向(一部)を、開始順で紹介しますと、図表1のとおりです。

図表1は、1997年国連が、クリーン開発メカニズムCDM制度による温室効果ガス排出権の管理システムを創設してから、2024年までの各国の排出量取引制度の主な動向の一部を示しています。世界の国が、積極的に排出量取引制度を採用していることがわかります。

(2) 国連の排出量取引制度のしくみと動向

国連が認定する排出権の源泉は、クリーン開発メカニズム(CDM)です。CDMは、1997年12月京都議定書第12条に定められた制度で、温室効果ガス排出削減を補足する京都メカニズムの1つです。これは、温室効果ガス排出削減義務上限のない途上国において、排出削減プロジェクトを実施して、その結果生じた排出削減量に基づいてクレジットCER (Certified Emission Reductions) が発行されるしくみです。

すなわち、先進国と途上国が共同で排出削減事業を実施し、その削減分を投資国(先進国)が自国の目標達成に利用できる制度であり、その成立には、国連の認可が必要となります。CDM理事会は、CERの自主的取り消しを推奨して、簡易的な取り消し手続きが可能なオンラインシステムの構築と運用を実施しています。排出権登録のしくみは、図表2のとおりです。

国連は、地球温暖化防止の国際的な枠組みである京都議定書に加盟する約170カ国が排出する温暖化ガスの量を登録する国際取引ログ(ITL :International Trade Log)と呼ばれるシステムを2007年5月に稼動させています。

国連の温暖化ガス排出権の管理システムは、図表3に示すとおりです。

図表3では、国連の取引ログシステム内に、自国の排出量を管理する登録簿を加盟国が作り、登録簿のなかに政府や民間企業が個別に口座を設けて、排出権を売買することが示されています。

日本は、議定書で約束期間(2008年から2012年)に温暖化ガス排出量を1990年比で6%減少しなければならないため、このシステムを介した排出権取引を利用しています。また、EUもこのシステムに参加しています。国連は登録された排出量で、各国が排出量削減の目標を達成しているかを判断します。国連のCDM制度の概要は、図表4のとおりです。