能登半島地震はBCPをどう変えたか
市立輪島病院の経験

危機管理塾 1月17日

市立輪島病院事務部長
河﨑国幸氏

危機管理塾を1月17日にリアル開催。市立輪島病院事務部長の河﨑国幸氏が、能登半島地震の経験を発表

病院BCPはリソース制約のシビアな想定が必要

危機管理塾は1月17日、東京・千代田区の新駿河台ビル会議室で開催。1年前の能登半島地震で大きな被害を受けた市立輪島病院の事務部長・河﨑国幸氏が当時の状況を振り返り、現場で起きたことや求められたこと、BCPで機能したことやしなかったことについて発表した。

河﨑氏は「2007年の地震とは比べ物にならない被害だった」と回想。電気や水道などのライフラインが途絶、院内配管からの漏水で診察・検査機器が全滅したと説明し「入院患者や職員に一人もケガ人が出なかったのがせめてもの救い。だが、その時点で災害拠点病院の役割を果たせる状況になかった」と話した。

周辺環境においても、道路が寸断されて孤立地域が多発。職員が参集できないなかで人的リソースも限られたと発言。そうした最悪の状況下で少数の医師と看護師が自らの判断でトリアージを開始したと述べ「想定を超える被害でBCPの大半は機能しなかったが、現場の意思決定と行動においては日頃の訓練が非常に役立った」とした。

河﨑氏は発災後の急性期対応において、少ない可能性を見つけ出しできることを実施したと解説。医療リソースを制限されながらも結果的に運営を止めることなく継続できたのは「DMATの支援を受けて入院患者や透析患者を他院にすべて搬送できたことが大きい。それがなければパンクしていた」と振り返った。

市立輪島病院BCP見直しのポイント

河﨑氏は医療のBCPについて「病院の事業は復旧が命。そのためには人とともに設備・機器とライフライン、特に水は不可欠になる。それらの制約をシビアに想定してBCPをつくり、備えておく必要がある」と指摘。見直しに必要な観点として「本部長不在時の院内災害対策本部立ち上げ基準・手順」「発災曜日・規模・災害拠点病院としての役割をふまえた診療継続体制」「下水5日以内復旧対策や医療機器・設備の確保対策」など、7つのポイントをあげた。

●次回危機管理塾
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