2025/02/09
定例セミナーダイジェスト
「変化するサイバー脅威に備える」
OTセキュリティー、サプライチェーン攻撃から見る
2024年と2025年の展望
テクノロジーリスク勉強会 1月24日
アイディルートコンサルティング
CISOサービス事業部 パートナー(事業部長)
吉田卓史氏

サプライヤーのセキュリティー対策を評価
テクノロジーリスク勉強会は1月24 日、オンラインで開催。アイディルートコンサルティングCISOサービス事業部パートナー(事業部長)の吉田卓史氏が、2024年に発生したサイバー脅威の重大事例や最新の動向をもとに、2025年に向けて製造業が取るべきOTセキュリティー対策やサプライチェーン攻撃への備えについて解説した。
OTは工場やビルなどの管理に用いられる制御技術のこと。近年OTセキュリティーの重要性が高まっている背景について、吉田氏はIoTやDXの導入でOT機器がインターネットにつながり閉域網ではなくなってきていることを指摘、特に「改正経済安全保障推進法で規定された15分野には重点的な対策が求められる」とした。
OTを狙う攻撃者の手法は主に「混乱させる(Disrupt)」「無効化する(Disable)」「拒否させる(Deny)」「だます(Deceive)」「破壊する(Destroy)」に分かれ、その頭文字から「5D」と呼ばれるという。ここ最近の日本では名古屋港コンテナターミナルや大手レンズメーカーHOYAの社内システムが攻撃を受け、甚大な被害が発生したと説明した。
今後については「AI との統合で攻撃のさらなる加速があり得る。セキュリティー対策の遅れが狙われやすくなる」とし、まずは「ネットワークの見える化が重要」と強調。そのうえで「ネットワーク分離やSOC、CSIRTによるネットワーク監視などの対策が求められる」と述べた。
またサプライチェーン攻撃については、IPA(情報処理推進機構)が発表した2024年の組織における情報セキュリティー10大脅威で2位にランクインしたことを紹介。「セキュリティーの脆弱な取引先や工場をねらい、そこから標的の大企業へ侵入する攻撃手法が増加している」と説明した。
吉田氏は、サプライチェーン攻撃は件数が増加しているうえ攻撃自体も高度化しているとし、委託先契約内容の確認や脆弱性管理ソフトを用いた納品物の検証が重要と指摘。サプライチェーン全体のリスクを可視化する評価サービスの導入も有効と話した。
また、経済産業省が構想している「サプライチェーン対策評価制度」に言及。サプライチェーン上の企業のセキュリティー対策水準をクラス分けする制度で「導入されれば各企業の対策の強度が評価されるようになる。今後は、こうした制度を活用したセキュリティー対策も重要になる」とした。
PRO会員(ライトは除く)のアーカイブ視聴はこちら。2025年4月30日まで。
- keyword
- 防災
- BCP
- サイバーセキュリティ
- OTセキュリティ
- 能登半島地震
- 水害BCPタイムライン
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
-
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
-
-
-
防災教育を劇的に変える5つのポイント教え方には法則がある!
緊急時に的確な判断と行動を可能にするため、不可欠なのが教育と研修だ。リスクマネジメントやBCMに関連する基本的な知識やスキル習得のために、一般的な授業形式からグループ討議、シミュレーション訓練など多種多様な方法が導入されている。しかし、本当に効果的な「学び」はどのように組み立てるべきなのか。教育工学を専門とする東北学院大学教授の稲垣忠氏に聞いた。
2025/04/10
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方