御嶽山の噴火災害後、気象庁は登山者や周辺住民に素早く情報を伝える「噴火速報」の導入や、観測機器の増強を進めてきた。より多くのデータが得られ、担当者は「これまで見えなかった現象が見えてきている」と話す。
 噴火災害を受け、同庁の火山噴火予知連絡会は2015年、検討会の報告書で観測体制の強化や情報提供の在り方の改善を求めた。
 同庁は噴火速報を導入するとともに、噴火警戒レベル1が示す状態を「平常」から「活火山であることに留意」に変更した。火山の山頂付近に地震計などの観測機器を増設し、監視に当たる職員数も160人から280人に増やして研修内容を見直した。
 同庁の重野伸昭・火山対策企画官は、機器の増設で火口付近の火山性地震を捉えやすくなったと説明。その上で、「噴火の過程は分かっていない点も多い」とし、データの蓄積や読み解く能力が今後の課題だとの認識を示した。
 同庁ウェブサイトには山ごとの情報をまとめた登山者向けのページも開設。重野氏は「登る山がどんな状態かを把握し、ヘルメットなどの装備を調えてほしい」と呼び掛けた。 
〔写真説明〕気象庁の火山監視・警報センター=2023年6月、東京都港区

(ニュース提供元:時事通信社)