2025/04/22
防災・危機管理ニュース
MS&ADインシュアランスグループホールディングス(HD)の船曳真一郎社長は21日までに時事通信のインタビューに応じた。3月に決めた傘下の三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険の合併に関し、業界で不祥事の発覚が相次ぐ中で「ガバナンス(企業統治)体制の再構築が最優先だ」と強調した。
損保業界を取り巻く経営環境は、自然災害の激甚化や少子化に伴う国内市場の縮小に加え、最近の不祥事で厳しさを増している。船曳氏は合併による「資本力強化と事業費(削減のため)の構造変革が必要だ」と指摘。6月末に傘下2社のシステム統合計画を策定する方針を示した。
2027年4月をめどとする合併後は、売上高に当たる正味収入保険料の規模で東京海上日動火災保険を抜き、国内首位となる見込み。1990年代後半に10社超あった主要損保会社は、東京海上日動と損害保険ジャパンを加えた3社体制となる。
損保業界では自動車保険の契約獲得を目的とした代理店との癒着が露見。業界慣行の是正が求められる中、各社とも価格競争力が問われている。船曳氏は「(合併で)システムや不動産、人的資本など全ての領域で効率性が確保できる」と話し、現状では東京海上日動よりも高い事業費率の削減を目指す考えを示した。
また、企業向け保険の価格調整問題では、各社とも不正の温床とされた顧客企業との持ち合い株式の売却を進める。船曳氏は「企業マーケットの競争の在り方が変わってくる」と指摘。競争激化への備えとして「1社で大きなリスクを引き受けられる体制をつくるための資本力が必要になる」と説明した。
〔写真説明〕インタビューに答えるMS&ADインシュアランスグループホールディングスの船曳真一郎社長=10日午後、東京都千代田区
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
- 離陸前の旅客機で火災=米フロリダ州
- ガバナンス再構築が最優先=6月にシステム統合計画―MS&AD社長
- 個人情報政策で有識者懇談会=政府、AI普及踏まえ
- 自動車安全試験、やり玉に=トランプ氏が対日圧力
- 三井住友銀、災害損失時の返済一部免除=法人向け融資で
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
-
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方