2024/10/21
防災・危機管理ニュース
能登半島北部を襲った大雨災害は21日で1カ月を迎えた。石川県によると、18日現在の避難者数は宿泊施設への2次避難を含めて434人で、災害数日後から大きく減っていない。用地不足で応急仮設住宅の建設が遅れているためで、生活再建の壁となっている。
9月21日は輪島市で1時間雨量121ミリの観測史上最高を記録し、気象庁は同市と珠洲市、能登町に大雨特別警報を発令。河川の氾濫や土砂崩れで14人が犠牲となり、1人が行方不明、1487戸の住宅が被害を受けた。元日の能登半島地震の傷痕が残る中、インフラの復旧も遅れており16日現在、1012戸で断水が続いている。
県によると、大雨で新たに必要になった仮設住宅は輪島、珠洲両市で計390世帯分。輪島市では小学校のグラウンドなど、広くまとまった土地は地震後に建てた仮設住宅でほぼ使い果たしたといい、担当者は「2階建てで建設せざるを得ない」と説明する。
同市杉平町で18日に着工した86世帯分の用地は、市が災害公営住宅のために確保していたものだ。2階建てのため、完成までにはプレハブ平屋型より長い3~4カ月が見込まれ、入居を待てば厳冬期も避難所生活が続く恐れがある。
母親と避難所に身を寄せる同市の吉村晃一さん(52)は、大雨で自宅の裏山が崩れ、仮設住宅への入居を望んでいる。「地震に続く豪雨で心が折れた。少しでも光が見えるよう、安心して住める場所が早く欲しい」と語る。
両親を含む一家7人で避難所に暮らす谷内香奈子さん(43)は、元日の地震で県南部に避難し、ようやく戻った自宅を洪水で流された。小学1年の長男がストレスを抱えがちといい、「住む場所があちこち変わるのがかわいそうで、早く落ち着きたい」と話す。
主力産業である農業も打撃を受けた。県によると奥能登地域の昨年の水稲作付面積の3分の1に当たる950ヘクタールが冠水、400ヘクタールに土砂や流木が堆積した。輪島市町野町で農業法人を営む川原伸章さん(47)は「地震で作付けが減る中、これから収穫という時期だった。痛手しかない」と苦境を訴えた。
〔写真説明〕大雨災害で山が崩れ、田地に流入した土砂=19日、石川県輪島市
〔写真説明〕大雨災害を受け、新たに始まった応急仮設住宅の建設工事=19日、石川県輪島市
(ニュース提供元:時事通信社)
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