【シリコンバレー時事】人工知能(AI)によって作られた精緻な偽の静止画・動画「ディープフェイク」の検出技術を無償で一般公開している米NPO「トゥルーメディア」の創設者オーレン・エツィオーニ氏が11日、取材に応じた。11月に控える米大統領選に「100%集中している」と述べた上で、日本の衆院選でも「できる限りのことをする」と語った。
 今回は、生成AIが拡大する中で行われる初めての米大統領選。エツィオーニ氏は「技術者ではない人が、安価に高品質な偽コンテンツを作ることができるようになった」と語る。生成AIの登場で人手や時間をかけず、情報をかく乱することが容易になった。
 トゥルーメディアには、技術者やアナリストら20人が所属。一般の人がX(旧ツイッター)上の偽動画と疑わしきものに「@truemediabot」と付けて投稿すれば、自動で判定し結果を返信する仕組みを導入している。ウェブサイトに動画を上げて判定してもらうことも可能で、日本でも使える。
 エツィオーニ氏は、IT企業による検出技術の開発努力を前向きに捉える一方、今年の選挙については準備が不足しており、SNS運営企業が「(判別の)役割を果たしていない」とも指摘。懸念に対処するため、トゥルーメディアは最新技術を継続的に投入するという。
 大統領選では移民政策や中絶の権利など多くの課題で、国民の分断が深まっている。エツィオーニ氏は「民主主義は、民主的な決断を下すために正確な情報を頼りにしている」と強調。こうした認識は、党派を超えて通じるものだと語った。 
〔写真説明〕米NPO「トゥルーメディア」が提供するX(旧ツイッター)上で偽画像・動画を検出する技術。実業家イーロン・マスク氏の画像で、分析の結果「作為の明白な証拠」と表示した(Xの投稿より・時事)
〔写真説明〕米NPO「トゥルーメディア」の創設者オーレン・エツィオーニ氏(同NPO提供・時事)

(ニュース提供元:時事通信社)