警視庁が来年4月に公安部を改編し、組織に属さず単独でテロを実行する「ローンオフェンダー」(LO)を専門で捜査する課を全国で初めて設置する方針を固めたことが29日、関係者への取材で分かった。情報収集体制を強化し、テロや凶悪事件の未然防止につなげる。
 LOを巡っては、安倍晋三元首相の銃撃事件や、遊説中の岸田文雄首相へ爆発物が投げ込まれた事件が相次いで発生。一方、準備から実行までを一人で行うため動向の把握が困難で、事件の前兆をつかみにくいとされている。
 警視庁ではこれまでも公安総務課がLOに関する情報を収集していたが、人員を拡充した上で新組織となる「公安3課」に情報集約機能を一元化する。刑事部や地域部など各部門が集めた不審者についての情報や、危険物の購入に関する情報などを集約するほか、サイバーパトロールを通じてSNS上での不審な投稿への警戒も強化する。
 改編では右翼団体を担当する現行の公安3課は「公安2課」に、過激派の中核派や革マル派を担当する公安1、2課は「公安1課」に統合する。警視庁幹部は「効果的な組織の体系をつくり、LOの脅威に対応していきたい」と話している。 
〔写真説明〕筒状の物体が投げ込まれ、振り返る岸田文雄首相(右から2人目)=2023年4月15日、和歌山市[目撃者提供]

(ニュース提供元:時事通信社)