8日午後4時42分ごろ、日向灘を震源とする地震があり、宮崎県日南市で震度6弱の揺れを観測した。気象庁によると、震源の深さは31キロ、地震の規模(マグニチュード)は7.1と推定される。
 気象庁は専門家による評価検討会を臨時開催し、南海トラフ地震の想定震源域で、規模の大きな地震が起きる可能性が平常時より高まっているとして、「巨大地震注意」とする南海トラフ地震臨時情報を発表した。同地震の臨時情報が発表されるのは初めて。
 岸田文雄首相は「地震への備えの再確認と、発生したらすぐ避難できる準備をしてほしい」と国民に呼び掛けた。一方、林芳正官房長官は記者会見で、8日夜時点で宮崎市と宮崎県都城市で計3人がけがをしたと明らかにした。
 気象庁は一時、愛媛、高知、大分、宮崎、鹿児島各県に津波注意報を発令。宮崎港で50センチ、宮崎県日南市油津で40センチの津波が観測された。
 原子力規制庁によると、四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)はいずれも地震による異常はない。原子力規制委員会は臨時情報を受け、電力会社などの原子力事業者に、防災体制を確認するよう注意喚起した。
 気象庁の束田進也地震火山技術・調査課長は記者会見で、「大規模地震の発生可能性は相対的に高まっているが、必ず発生するものではない」と説明。検討会の平田直会長は「普段の地震対策や避難経路などを再確認してほしい」と話した。
 主な各地の震度は次の通り。
 震度6弱=宮崎県日南市
 震度5強=宮崎市、鹿児島県大崎町
 震度5弱=宮崎県小林市、鹿児島市
 震度4=宮崎県えびの市、鹿児島県出水市、愛媛県伊方町、福岡県柳川市、佐賀市、熊本市、大分市。 
〔写真説明〕地震で損壊した家屋のがれきを撤去する作業員ら=8日、宮崎市
〔写真説明〕宮崎県で震度6弱を観測した地震について、記者会見する気象庁の青木重樹地震津波対策企画官=8日午後、東京都港区

(ニュース提供元:時事通信社)