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リスク管理フレームワークである「3ラインモデル」を採用する企業が増えています。各ラインの役割がより柔軟に定義され、協力と統合が強化されている「3ラインモデル」を、従来の3つのディフェンスラインモデルと比較し、導入時のポイントについて解説します。

■事例:リスク管理フレームワークの導入

大手製造業のリスク管理部門で働くAさんは、近年の急速な事業環境の変化に対応するために、新たなリスク管理フレームワークの導入を検討しています。Aさんが注目しているのは、「3ラインモデル」というフレームワークです。実は、Aさんは以前、金融機関を中心に導入が進んでいた「3つのディフェンスラインモデル」というのも聞いたことがあり、「その2つは一体何が違うのか?」と思っていました。

ある時、Aさんは社長から呼び出されました。社長は「我々のリスク管理を見直していきたい」と切り出しました。最近の市場変動や、新たな法規制への対応が急務となっている中で、社長はより統合的なリスク管理体制を求めていました。Aさんは「3ラインモデル」の提案を持ち出すことを考えましたが、3ラインモデルと3つのディフェンスラインモデルの違いが分らず、どちらを導入すべきか、また、導入した場合のメリットを完全には理解していません。

Aさんは、リスクマネジメントに知見を持っている知り合いのコンサルタントに相談したところ、次のように解説してくれました。

「従来の『3つのディフェンスラインモデル』は、各ラインが独立して機能することを重視していた。第一のラインは現場のリスク管理担当、第二のラインはリスク管理部門やコンプライアンス部門、第三のラインは内部監査部門がそれぞれ独立して活動していた。これは確かに効果的だったが、変化に対応する柔軟性に欠けていた。

一方、新しい『3ラインモデル』は、より統合的で柔軟なアプローチを取っている。各ラインが協力し合い、ガバナンス、リスク管理、内部統制が一体となって機能させることが特徴。これにより、組織全体でリスクに対応しやすくなる。特に、変化の激しい環境では、この協力と統合が非常に重要になるだろう」

Aさんは、コンサルタントの説明で自社で導入するならば『3ラインモデル』が適していることは理解出来ました。しかしながら、本当に自社に役立つのか確信を持てずに悩んでいます。
そして「3ラインモデルを使ってリスク管理している企業の事例などが無いだろうか?」と思っています。