2024/07/26
防災・危機管理ニュース
能登半島地震で被災した奥能登地域の小・中学校にはスクールカウンセラーが派遣され、児童生徒や教職員のメンタルケアが続く。これまで延べ160人超が現地入りし、「眠れない」「当時を思い出してつらい」など心身の不調を訴える声に耳を傾けてきた。地震発生から半年が過ぎたが、心の傷はいまだに癒えず、専門家は「支援の継続が必要だ」と話している。
日本臨床心理士会によると1月下旬以降、スクールカウンセラーを石川県輪島市や珠洲市、能登町に派遣。当初は個別面談が中心だったが、現在は日常生活のストレスや悩みの対処法を集団で学ぶ「心のサポート授業」も行っており、7月1~5日には10こま以上が開かれた。
愛知県から派遣された臨床心理士広田晋平さん(49)は、輪島中学校で不安や緊張を和らげる対処法を伝えた。輪島市の一部中学生は3月下旬まで白山市への集団避難を経験し、進学を機に市外に転居した生徒も。地震が生徒の心身に与えた影響は大きく、避難訓練などに拒否感を示すケースも報告されている。
広田さんは「非日常が続いたことで、今後気持ちが落ち込む場面が出てくるのではと心配している」と懸念。教職員からも不眠や精神的疲労を訴える声が寄せられ、医療機関の受診を促したこともあるという。
災害時のメンタルケアに詳しい、桜美林大の池田美樹准教授は「災害時のストレスでは、孤立が回復の妨害要素になる。人とのつながりや、『自分ならできる』という自己効力感を強化することが重要だ」と指摘。一方、トラウマ(心的外傷)を訴えるケースも確認されており、池田准教授は「地震を思い出してつらくなる児童生徒もいる。奥能登地域の中・長期的な支援が必要だ」と話している。
〔写真説明〕能登半島地震で被災した児童や生徒へのカウンセリングについて取材に応じる臨床心理士の広田晋平さん=1日、石川県輪島市
(ニュース提供元:時事通信社)

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