裁判手続の基礎知識―流れと概要―【財産調査編】
民事執行法上の財産調査について
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山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。2006年慶應義塾大学文学部人文社会学科人間関係学系社会学専攻卒業、09年同大学大学院法務研究科法学未修者コース修了、10年弁護士登録、21年公認不正検査士(CFE)認定。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2024/05/30
弁護士による法制度解説
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。2006年慶應義塾大学文学部人文社会学科人間関係学系社会学専攻卒業、09年同大学大学院法務研究科法学未修者コース修了、10年弁護士登録、21年公認不正検査士(CFE)認定。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
突然ですが、こんな事例があるとします。
このような場合、X社は、獲得した判決を基に(債務名義にして)、Yの預金債権を差し押さえたり、Yが所有する不動産の強制競売を申し立てたりして、債権を回収していく必要があります。これが民事執行(強制執行)手続になります。
X社は、裁判所に対して民事執行(強制執行)の申立てを行う必要がありますが、申立ての際には、執行の対象となるYの財産を、執行可能な程度に特定する必要があります。このため、Yがどの金融機関に預金口座を有しているのか、どういった不動産を所有しているのかなど、Yの財産状況がわからなければ、申立てを行うことすらできません。Yの財産状況についてX社が知っていれば問題ありませんが、そうでない場合には、民事執行(強制執行)の申立ての前段階として、財産調査が不可欠となるのです。
そして、事例のような場合において、裁判所を通じて債務者の財産状況を調査する方法が、民事執行法に規定されています。このため、X社は、民事執行法上の手続を利用し、Yの財産に関する情報を得ることが可能です。
債務者の財産に関する情報を調査するための方法として、民事執行法の第4章「債務者の財産状況の調査」が置かれ、その第1節において「財産開示手続」が、第2節において「第三者からの情報取得手続」が定められています。
財産開示手続は、債務者を開示義務者として、債務者自身の財産に関する情報を開示させるものになります。第三者からの情報取得手続は、令和元年の法改正により新たに設けられた手続で、登記所、市区町村、金融機関等の第三者に、債務者の特定の財産に関する情報を提供させるものになります。
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