今回紹介させていただくのは、米国に本拠地を置くBC Management社(注1)が2001年から継続的に実施している、事業継続マネジメント(BCM)関係者の報酬調査の2023年版である。
調査はWebサイトでのアンケートにて実施されており、47カ国の878人から回答を得ているが、米国からの回答が約56%を占め、これに英国とカナダ、オーストラリアからの回答を加えると約70%となるので、基本的に米英を中心とした欧米の事情が色濃く反映された調査だと考えて良いであろう。ちなみに日本からも9人が回答しているとのことである。
なお本報告書は下記URLにアクセスして、氏名やメールアドレスなどを登録すれば、無償でダウンロードできる。
https://www.wittobriens.com/resources/21st-edition-bcm-compensation-report
(PDF 77ページ/約 32.8 MB)
報告書の内容は、BCM関連の業務に従事している方々が手にしている報酬を、次のようなさまざまな観点から分析したデータが中心となっている。
・学歴や専門資格の有無
・性別や民族性(ethnicity)などの属性
・実務経験年数
・これまでに経験した業務の内容
図1はそのようなデータのひとつで、企業で正規雇用されているBCM従事者の平均年収(縦軸左側)(基本給ベース)と実務経験年数(横軸)との関係を示したものである。黄色の折れ線は回答者の割合(縦軸右側)で、経験年数7〜10年の人が回答者の22%を、16〜20年の人が19%を占めることを示している。
おおむね経験年数21〜25年に向かって増加傾向にあることが見て取れる。これ以降は頭打ちとなっているが、経験年数が26年以上の人は回答者の5%未満でサンプル数が少ないので、データの信頼性は低いかもしれない。そもそもBCMの専門家や実務者による非営利団体であるDRII(注2)が設立されたのが1988年、同じくBCI(注3)が設立されたのが1994年であるから、BCMに関して30年以上の実務経験を持つ人の絶対数が少ないはずである。
なお本報告書では企業におけるBCM従事者(Full-time, Permanent)とコンサルタント(Self-employed, Independent Contract Consultants)とは区別して集計されており、図1は前者のデータである。日本からの回答者の平均は99,170米ドル(約1,435万円)とのことであるから、図1と比べると日本企業におけるBCM従事者の報酬水準は若干低いと言わざるを得ない(注4)。
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方