セキュリティ文化の醸成と意識の高度化 ~2020年に向けて私たちにできること~
明確にしておくべき「MUST NOT」(その2)
危険時の状況判断をしっかりと
Toki's SECURITY Lab./
平川 登紀
平川 登紀
旧姓・宇田川。映画『羊たちの沈黙』のFBI訓練生クラリスに憧れ渡米。ワシントン州立大学大学院で犯罪法学(Criminal Justice)の修士号を取得。帰国後、航空セキュリティ関連の財団法人で、空港保安検査員の研修や保安検査状況の監査を担当し、航空セキュリティに興味を持つ。2007年、東京大学大学院博士課程へ進学し、本格的に航空セキュリティマネジメントの研究をスタート(2011年単位取得満期退学)。2021年に佐賀県唐津市へ移住。現在、フィジカルセキュリティストラテジストおよび航空セキュリティ研究者として活動中。
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今月は前回の「MUST NOT」の続きです。
「おや?と思ったら警察へ」「不審なものを見かけたら係員へ」などのポスター、街や駅構内で見かけますよね。「おや?」「不審だな」と感じたら、警察や駅スタッフへ報告する、これは私たちひとりひとりがやるべきこと「SHOULD」です。同時に、やってはいけないこと「MUST NOT」もあります。「MUST NOT」を覚えておくと、二次被害を減らすことにつながり、何よりも自身の安全を確保することができます。
MUST NOTの「三原則」
危機管理に関することは標語になっていたり、三原則になっていたりして、覚えやすいものがたくさんあります。不審物発見の三原則は有名ですね。
★不審物(モノ)
1.触らない
2.踏まない
3.蹴とばさない
★不審物(液体)
1.触らない
2.嗅がない
3.動かさない
不審なモノが人の場合は、こんな感じになります。
★不審者
1.無理して声かけするな
2.観察には注意して
3.見える範囲でのメモはするな(特徴を記憶して相手から離れてからメモを)
海外でも危機管理のための三原則はたくさんあります。その中で特に印象に残っているのはイギリスのセキュリティ専門家が話していたこの三原則です。
★状況判断
1.1人倒れていたら駆け寄ろう
2.2人倒れていたら注意して近づこう
3.3人倒れていたら近づかない
自分の周りで3人も倒れている、そんな状況は明らかに何か危険な事が今ここで起こっているという事が暗に示されています。
1995年の地下鉄サリン事件のとき、バタバタと人が倒れました。その倒れた人を助けようと周りにいた人々が駆け寄りました。そして同じように倒れていきました。
助けに行きたい気持ちをぐっと抑えて状況を判断してください。行けば自分も倒れてしまうかもしれません。二次被害が拡大してしまうかもしれません。まずは自分の身の安全を確保すること、これこそが命を守る危機管理の教えです。
「MUST NOT」の徹底を
2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピック以外にも、東京マラソンやユニバーシアードなどの大規模イベントでは一般人であるボランティアの協力が不可欠です。こうしたビッグイベントの主催者は、ボランティアスタッフへやってほしいことだけではなく、やってはいけない「MUST NOT」を徹底してほしいと思います。
やるべきこととやってはいけないこと、セキュリティ対策にはこの両面が必要なのです。
この数カ月、私たちひとりひとりがセキュリティ対策を担っているという意識を持って行動することの重要性をお伝えしてきました。来月からは、私たちの周りにあるセキュリティソリューションや次世代セキュリティについてお話します。
(了)
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