今回は世界有数の保険会社であるAllianzが2023年1月に発表した「Allianz Risk Barometer」の2023年版を紹介させていただく。これは同社の法人顧客やブローカー、リスクコンサルタントなどを対象として実施したアンケート調査に基づいて、今後警戒すべきリスクのランキングをまとめたものである。
2023年版のための調査は2022年10月から11月にかけて行われ、94カ国2,712人から回答を得ている。なお回答者の47%は年商5億米ドル以上の大企業、34%が年商2億5千万米ドル以下の小規模企業で、残り19%がその中間とのことである。
本連載では過去に2017年版と2021年版を紹介させていただいたが(注1)、これは2012年以降毎年発表されており、下記URLにアクセスして、氏名やメールアドレスなどを登録すれば、過去の報告書も含めて無償でダウンロードできる(注2)。
https://www.agcs.allianz.com/news-and-insights/reports/allianz-risk-barometer.html
(PDF 40ページ/約 9.9 MB)
なお上のURLで表示されるページの下の方には図1のようなグラフが表示されており、年数表示の部分をクリックすると、毎年の報告書におけるトップ10が表示されるようになっている。
2023年版におけるトップ10は次のようになっている。なお本稿のトップに掲載した図は、これらをパーセンテージに応じた面積で示したもので(注3)、本報告書では目次のすぐ後に掲載されている。
1. サイバー・インシデント(Cyber incidents) 34%
2. 事業中断(Business Interruption) 34%
3. マクロ経済の状況(Macroeconomic developments) 25%
4. エネルギー危機(Energy crisis) 22%
5. 法規制の変化(Changes in legislation and regulation) 19%
6. 自然災害(Natural catastrophes) 19%
7. 気候変動(Climate change) 17%
8. 人材不足(Shortage of skilled workforce) 14%
9. 火災・爆発(Fire, explosion) 14%
10. 政治的リスクや暴動(Political risks and violence) 13%
当サイトの読者の皆様であれば、このランキングを見ても特に驚きは無いであろう。「パンデミック」(Pandemic outbreak)に関しては、2020年までずっと1〜3%で推移していたものが2021年に40%にまで急増し、2022年も22%を維持していたが、2023年には7%まで減少してトップ10から外れてしまった。また「エネルギー危機」は2022年まではトップ15位以内に姿を現していないが、2023年に突如として4位に浮上している。
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