長く続いた品質不正を正すには?
第3回 品質不正の根深さと是正への覚悟

鈴木 英夫
慶應義塾大学経済学部卒業。民族系石油会社で、法務部門、ロンドン支店長代行、本社財務課長など(東京・ロンドン)を務め、その後、外資系製薬会社で広報室長・内部監査室長などを務め、危機管理広報、リスクマネジメントを担当(大阪)。現在は、GRC研究所代表、リスクマネジメント・コンサルタント(兵庫)。リスクマネジメント協会研究員。
2022/11/16
ニュースから探るリスクマネジメントのABC
鈴木 英夫
慶應義塾大学経済学部卒業。民族系石油会社で、法務部門、ロンドン支店長代行、本社財務課長など(東京・ロンドン)を務め、その後、外資系製薬会社で広報室長・内部監査室長などを務め、危機管理広報、リスクマネジメントを担当(大阪)。現在は、GRC研究所代表、リスクマネジメント・コンサルタント(兵庫)。リスクマネジメント協会研究員。
三菱電機の品質不正を巡り、調査委員会が公表した最終報告書でも新たな問題が発覚した。製品試験を受託していた協力会社が「不正をやめたい」と伝えていたが、管理職は具体的な措置は講じず、訴えは放置された。問題として表面化していたにもかかわらず、約2カ月前まで続けられていたケースもあった。「あわよくば発覚は免れられる」「性能には影響ない」などとの不正軽視の姿勢も目立った。(日経新聞:2022年10月21日)
品質に関する継続的な不正は企業文化に根づいている。これまでも三菱自動車工業や日野自動車などの例も報道されている。背景には「性能に実質的な問題がなければよい」などという正当化要因がある。
2022年10月20日に公表された三菱電機の調査委員会の調査報告書(第4報・最終報告)によれば、管理職の関与については、① 管理職が不正を自ら積極的に主導・指示・了解していた場合、②事後的に職制を通じて部下から相談・報告を受けたり、2016年度から 2018年度に実施された点検において部下から相談・報告を受けたものの、適切な是正措置を講じることができなかった場合等が指摘されている。
管理職の関与があった62 件のうち、上記①のケースは 54 件あった。最終報告では「管理職の関与があった事案の大部分において、管理職が不正を自ら積極的に主導・指示・了解して、部下に不正を行わせていた」と記載されている。
品質不正の発生原因としては以下7点が報告されている。
さらに、多数の製作所において品質不正が発生した理由については次のように書かれている(抜粋して紹介)。
これらの要素は、他の会社でも考えられる。
ニュースから探るリスクマネジメントのABCの他の記事
おすすめ記事
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/15
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
防災教育を劇的に変える5つのポイント教え方には法則がある!
緊急時に的確な判断と行動を可能にするため、不可欠なのが教育と研修だ。リスクマネジメントやBCMに関連する基本的な知識やスキル習得のために、一般的な授業形式からグループ討議、シミュレーション訓練など多種多様な方法が導入されている。しかし、本当に効果的な「学び」はどのように組み立てるべきなのか。教育工学を専門とする東北学院大学教授の稲垣忠氏に聞いた。
2025/04/10
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方