森下俊三氏  同志社大学大学院特別客員教授・
NHK経営委員 NTT西日本シニアアドバイザー(地区防災計画学会最高顧問)
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田中行男氏  一般財団法人関西情報センター専務理事(地区防災計画学会理事)
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筒井智士氏  地区防災計画学会理事事務局長

フェイスブックやツイッタ―などのSNS、さまざまな情報が書き込める電子地図、位置情報が把握できるGPS、危険情報を素早く伝えるアプリなど、東日本大震災以降、さまざまな情報システムが注目を集めている。地区防災計画を進めていく上で、どのような視点で情報システムを取り入れていけばいいのか。同志社大学大学院特別客員教授・NHK経営委員・NTT西日本シニアアドバイザーで地区防災計画学会最高顧問の森下俊三氏、一般財団法人関西情報センター専務理事で地区防災計画学会理事の田中行男氏に、地区防災計画学会理事・事務局長の筒井智士氏が話をうかがい、その課題と方向性を探った。


筒井:私は、今後、日本の社会の在り様を考えていく上で、「地区防災計画」に集約されている3つの言葉の力が重要になってくると思います。それは、地区の「コミュニティ力」、防災の「防災力」、計画の「マネジメント力」です。そしてこれらの力を支えるのがまさに「情報」だと考えています。

特に「コミュニティ力」については、コミュニケーションがあってこそのものです。では、情報ツールがコミュニティを活性化、結束させるためにどうあるべきなのかを、まずは、森下顧問にお伺いしたいと思います。

森下:「地区防災計画」は、東日本大震災が1つの大きな契機になっています。これにより、日本社会の課題が浮き彫りになったと思うのです。それは、地区のコミュニティ力の重要性です。東北地方は、地区としてのコミュニティ力が比較的ありましたが、災害時にいかに地域のコミュニティが大事かということが改めて分かりました。

行政は方針を出しますが、最後に行動するのは住民です。行政に頼るのでなく、その地域で住民がどのように助け合うかが、一番大事です。コミュニティをもう一度作り直す、安全・安心な地域社会を住民が自分たちで作っていくことが、今回の「地区防災計画」の大きなポイントです。同時に、今政府が進めている「地方創生」とも深いつながりがあると思います。

どの地域も高齢化の問題を抱えていて、一人暮らしの老人が増える一方、昼間働いていて夜間しか自宅にいない人が多くなり、地域コミュニティが非常に多様化しています。こうした社会では、何かあった時に地域全体にいかに情報を早く伝えるか、情報を共有しあえるかという課題があるわけです。

他方で、今は情報通信のツールが普及しているので、その場にいなくても情報を伝達したり、受けとることができます。それが証明されたのも東日本大震災で、携帯電話やインターネット、ソーシャルメディア、SNSなどが効果を発揮しました。