コロナ禍で急増する副業・兼業
客観的・合理的な範囲で社内ルールの整備を
毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
2022/08/21
ニューノーマル時代の労務管理のポイント
毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
JOB総研が実施した「2022年副業・兼業に関する実態調査」によると、副業・兼業をしていると回答した人の割合は21.6%で、2020年以降、副業・兼業を始める人が急増しています。同調査では、副業・兼業を始めたきっかけについて、「本業の収入だけでは生活が厳しくなった」「テレワークになり始めやすくなった」を挙げる人の割合が高く、また、今後副業・兼業をしたいと思うかとの問いに対して「思う」「どちらかと言えば思う」と回答した人の割合は89.8%に上っています。
副業・兼業を希望する人が増える中で、令和4年7月8日に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定されました。
「働き方改革実行計画」において副業・兼業の普及を図るという方向性が示され、厚生労働省は、平成30年1月に、副業・兼業について企業や働く方が現行の法令のもとでどのような事項に留意すべきかをまとめた「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(以下、「副業・兼業ガイドライン」といいます。)を作成しました。その後、令和2年9月に副業・兼業ガイドラインが改定され、副業・兼業を行う労働者の労働時間の管理や時間外労働に対する割増賃金の負担、労働保険・社会保険の適用に関するルールが明確化されました。
令和4年7月の改定では、企業による副業・兼業に関する情報の公表に関する事項が追加されました。働き方が多様化する中で、副業・兼業を希望する労働者が適切な職業選択を通じ、多様なキャリア形成を図っていくことを促進することを目的として、「企業は、労働者の多様なキャリア形成を促進する観点から、職業選択に資するよう、副業・兼業を許容しているか否か、また条件付許容の場合はその条件について、自社のホームページ等において公表することが望ましい」とされています。また、副業・兼業ガイドラインのQ&Aでは、自社のホームページで公表する場合の記載例が示され、ホームページ以外の公表方法として、会社案内(冊子)や採用パンフレットが挙げられています。
今回の改定による副業・兼業に関する情報の公表は義務ではありませんが、今後、副業・兼業を促進している企業を中心に公表が進むものと思われ、副業・兼業についての会社の方針は、求職者が就業先を選ぶ際の判断要素の一つとなるものと思われます。多様な働き方を希望する人が増えている中で、企業としては、従業員の健康管理や業務への支障を生じさせないための工夫を行った上で、働く人のニーズに配慮した仕組みを整えることが求められます。
ニューノーマル時代の労務管理のポイントの他の記事
おすすめ記事
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方