JOB総研が実施した「2022年副業・兼業に関する実態調査」によると、副業・兼業をしていると回答した人の割合は21.6%で、2020年以降、副業・兼業を始める人が急増しています。同調査では、副業・兼業を始めたきっかけについて、「本業の収入だけでは生活が厳しくなった」「テレワークになり始めやすくなった」を挙げる人の割合が高く、また、今後副業・兼業をしたいと思うかとの問いに対して「思う」「どちらかと言えば思う」と回答した人の割合は89.8%に上っています。

出典:JOB総研「「2022年副業・兼業に関する実態調査」
出典:JOB総研「「2022年副業・兼業に関する実態調査」

副業・兼業を希望する人が増える中で、令和4年7月8日に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定されました。

1 改定の概要

「働き方改革実行計画」において副業・兼業の普及を図るという方向性が示され、厚生労働省は、平成30年1月に、副業・兼業について企業や働く方が現行の法令のもとでどのような事項に留意すべきかをまとめた「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(以下、「副業・兼業ガイドライン」といいます。)を作成しました。その後、令和2年9月に副業・兼業ガイドラインが改定され、副業・兼業を行う労働者の労働時間の管理や時間外労働に対する割増賃金の負担、労働保険・社会保険の適用に関するルールが明確化されました。

令和4年7月の改定では、企業による副業・兼業に関する情報の公表に関する事項が追加されました。働き方が多様化する中で、副業・兼業を希望する労働者が適切な職業選択を通じ、多様なキャリア形成を図っていくことを促進することを目的として、「企業は、労働者の多様なキャリア形成を促進する観点から、職業選択に資するよう、副業・兼業を許容しているか否か、また条件付許容の場合はその条件について、自社のホームページ等において公表することが望ましい」とされています。また、副業・兼業ガイドラインのQ&Aでは、自社のホームページで公表する場合の記載例が示され、ホームページ以外の公表方法として、会社案内(冊子)や採用パンフレットが挙げられています。

今回の改定による副業・兼業に関する情報の公表は義務ではありませんが、今後、副業・兼業を促進している企業を中心に公表が進むものと思われ、副業・兼業についての会社の方針は、求職者が就業先を選ぶ際の判断要素の一つとなるものと思われます。多様な働き方を希望する人が増えている中で、企業としては、従業員の健康管理や業務への支障を生じさせないための工夫を行った上で、働く人のニーズに配慮した仕組みを整えることが求められます。

出典:「副業・兼業の促進に関するガイドライン」Q&A