そもそも専門家に定義はあるのか(写真:写真AC)

「専門家」の定義は自称以外にない

今回は、専門家と呼んでよいのか疑わしい、素人専門家に関して論じる。

このケースを論じる前に、そもそも専門家とはどのような定義で成立するのかを考える必要がある。資格制度があるわけでもない分野で、誰を専門家と呼ぶのか。答えは簡単である。自称以外にないのだ。

資格制度があるわけではない分野で専門性を裏付けるのは、経験によるところが大きい(写真:写真AC)

それはいくら何でもいい過ぎではないだろうかと思う人も多いかもしれない。しかし、冷静に考えてほしい。例えばシンクタンクの人間は、関連する情報を調査・分析・考察することを職業として日々活動している。それゆえ一般人よりも造詣は深いだろう。ジャーナリストも、自分の活動する分野に専門特化した活動をしていれば同様だ。

その専門性の裏付けは、経験による。しかし、それを測る尺度は存在せず、あくまで自称でしかない。

経験が条件であれば、巷に経験者は大勢存在する。情報の収集・調査もいまやネットを中心に情報はストックされており、比較的容易な環境が整っている。一昔前であればメディアのフロー情報が中心で、それが蓄積されていないので、相当な労力をかけないと情報の収集が困難であった。いまはまったく異なる情報環境なのだ。

つまり、一般人との違いとして、単に自称する著名人というケースも多い。

それなのに、専門家と称する人が地上波メディアでまことしやかに語り、自身で情報を収集・選別する意思の薄い、いわゆる「情弱」といわれても仕方のない人たちが、地上波メディアは絶対だと妄信する構造が生じる。それが無視できるほど少数であれば仕方がないだろうが、残念ながら一定数を締めるから問題なのだ。