感染して無症状の社員は働くことができますか?
コロナ禍における労働問題
毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
2022/02/24
ニューノーマル時代の労務管理のポイント
毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
新型コロナウイルスの第6波による新規感染者は、2月に入り減少傾向にある一方で、高齢者施設ではクラスターの発生が急増しています。病床逼迫から入院できず、施設内での療養を余儀なくされるケースが相次ぐ中で、高齢者施設では、新型コロナウイルスに感染した陽性の職員が陽性の施設利用者を介護する、「陽陽介護」が発生しています。
新型コロナウイルスの感染が確認された場合、都道府県知事は感染症法に基づき、感染者に対し就業制限や入院の勧告を行うことができますが、高齢者施設では、食事や排泄の介助などができないと施設利用者の命に関わることから、「陽陽介護」を行う陽性の職員に対して、その就業を制限することは、現実問題として難しいものと思われます。しかし、万一、陽陽介護を行う職員が重症化し、死亡するなどの事態に至れば、使用者は、安全配慮義務違反を問われ、損害賠償請求を受ける可能性があります。
なお、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて」では、患者の診療・看護・介護の業務に従事する医療従事者等が感染した場合は、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象としています。他方、医療従事者等以外の労働者については、感染源が業務に内在していたことが明らかである場合は労災保険給付の対象とし、また、感染経路が特定されない場合であっても、クラスターが発生した職場での業務や対人サービス業務に従事する労働者については、業務により感染した蓋然性を認め、業務従事状況や一般生活状況を調査して、個別に業務起因性を判断するとしています。
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