第48回:カンタベリー地震からの事業復旧はどのように進んでいるのか
Resilient Organisations / Business recovery from the Canterbury earthquakes
合同会社 Office SRC/
代表
田代 邦幸
田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より複数のコンサルティングファームにて、事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。一般社団法人レジリエンス協会 組織レジリエンス研究会座長。BCI Approved Instructor。JQA 認定 ISO/IEC27001 審査員。著書『困難な時代でも企業を存続させる!! 「事業継続マネジメント」実践ガイド』(セルバ出版)
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ニュージーランドで活動している研究プログラム「Resilient Organisations」(注1)は、ニュージーランドで 2010 年と2011 年に発生したカンタベリー地震に被災した多数の組織が災害からどのように復旧してきているかを継続的に調査している(注2)。
報告内容の概略はウェブサイトにまとめられている。主要な設問は次のとおりであり、これらに対する回答結果がシンプルで分かりやすいグラフで表現されている。例えば図 1 は、社会インフラの中で途絶による影響が最も大きかったのはどれか?という設問に対する回答結果である。このような感じのグラフが上から順に並んでいるので、ぜひアクセスしてみていただきたい。
- Did organisations learn from their earthquake experiences?
(組織は地震の経験から学んだか?)
- What adaptive actions did organisations take to help them thrive?
(組織が繁栄するためにどのような適応策をとったか?)
- How quickly did organisations recover?
(組織がどのくらい早く復旧したか?)
- What changes in demand for their goods or services did organisations experience?
(自社が提供する商品やサービスに関して、どのような需要の変化を経験したか?)
- Which disruptions affected organisations the most?
(途絶による影響が最も大きかったのはどれか?)
- What level of supply chain disruption was experienced?
(どのくらいの程度のサプライチェーン途絶を経験したか?)
- How did revenue change?
(収益はどのくらい変わったか?)
詳細な調査結果や考察は個別の PDF ファイルにまとめられている。それぞれが ウェブサイトに掲載されているグラフに対応しており、個々のグラフの下にある「READ THE FULL RESULTS BULLETIN」という部分をクリックすると、個々の PDF ファイルをダウンロードできるようになっている。
1. Survey Methodology (調査方法)
2. Representativeness of Survey Sample (調査サンプルの代表性)
3. Time to recover (復旧までの時間)
4. Patterns of demand (需要のパターン)
5. Disruption Factors (途絶の要因)
6. Combining Disruption Factors (途絶の要因の組み合わせ)
7. Supplier Capability (サプライヤーの能力)
8. Revenue Changes (収益の変化)
9. Taking New Mitigation Actions (軽減のための新たな活動)
10. Business Changes (ビジネスの変化)
グラフや PDFファイルのタイトルからおわかりいただけると思うが、カンタベリー地震から組織が受けた影響と、そこからの復旧・復興の実態を知る上で重要な観点からの調査結果を含むものとなっている。日本での同種の調査と比較すると、何か新たな発見があるのではないだろうか?
■ 報告書本文の入手先
https://www.resorgs.org.nz/our-projects/business-recovery-after-disaster/business-recovery-canterbury-earthquake/
注1)オークランド大学とカンタベリー大学を中心としたメンバーで、2004年から組織のレジリエンスに関する研究に取り組んでおり、多数の調査レポートや論文を発表している。 http://www.resorgs.org.nz/
注2)かつて紙媒体の「リスク対策.com」2015年1月発行 vol.47 でも、Resilient Organisations が2014年12月に発表した調査報告書「Disruption and Resilience: How Organisations coped with the Canterbury Earthquake」を紹介させていただいた。
(了)
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