本連載ではこれまで、世界最大級の保険・再保険ブローカーであるAonが発表した調査結果をたびたび紹介してきたが、今回は同社が隔年で実施している「Global Risk Management Survey」の2021年版を紹介する。
これは企業や公的機関における、リスクマネジメントに関する意思決定者を対象として行われたアンケート調査の結果をまとめたものである。調査は2021年の第2四半期に行われ、世界60カ国の2,344人から回答が得られているという。
調査結果は2021年10月から下記URLで公開されており、Webブラウザで読めるようになっている。
https://www.aon.com/2021-global-risk-management-survey/index.aspx
上のURLにアクセスして氏名やメールアドレスなどを登録すると、図1のように全体構成が表示され、それぞれの項目名やページ上端のバーに表示されているセクション名をクリックすれば該当ページにジャンプするようになっている。
重要リスク1位はサイバー攻撃/データ漏洩
これらの中で読者の皆様に最も注目される項目のひとつは「The Current Top 10 Risks」ではないだろうか。これは調査回答者が現在直面している重要なリスクの上位10位までのランキングであり、次のようになっている。
1. Cyber Attacks/Data Breache(サイバー攻撃/データ漏洩)
2. Business Interruption(事業中断)
3. Economic Slowdown/Slow Recovery(景気の後退/回復の遅れ)
4. Commodity Price Risk/Scarcity of Materials(商品相場リスク/原材料の不足)
5. Damage to Reputation/Brand(レピュテーションやブランドへのダメージ)
6. Regulatory/Legislative Changes(法規制の変更)
7. Pandemic Risk/Health Crises(パンデミックのリスク/健康危機)
8. Supply Chain or Distribution Failure(サプライチェーンや配送に関する障害)
9. Increasing Competition(競争の増加)
10. Failure to Innovate/Meet Customer Needs(イノベーションの失敗/顧客ニーズとの合致)
なお、1位のサイバー攻撃/データ漏洩は3年後に懸念されるリスクのランキングでも1位となっており、当面の間は多くの企業や公的機関にとって脅威となり続けるという見通しが示されている。
このようなランキングは他の調査報告書でもよく用いられる形式であるが、今回紹介する「Global Risk Management Survey」においては、この「Top 10 Risks」は調査結果への入り口のようなものであり、このランキングを見るだけでは実はあまり意味がない。
図1の上の方にある「Top 10 Risks」という部分をクリックすると、前述のランキングが目次として表示され、各項目をクリックすると、それぞれのリスクに関する詳細なデータや解説のページに飛ぶようになっている。過去の調査結果との比較や、地域ごと、業種ごとの違いなども詳しく解説されており、これらの情報や解説にこそ価値がある。
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