2021/09/02
ニューノーマル時代の労務管理のポイント
2. 労災保険の特別加入制度とは
労災保険は、労働者が仕事または通勤によって被った災害に対して補償する公的な制度です。一定の要件を満たすことで労働者以外も任意加入することができ、補償を受けることができます。これを「特別加入制度」といいます。
労災保険に特別加入すると、仕事中のケガ、病気、障害または死亡した場合に補償を受けることができます。業務災害であると認定されると、労災保険給付として、次のような給付金が支給されます。
①ケガなどの治療費などの療養費
②ケガなどで休業する際の休業期間の給付
③治療後に障害が残った場合の給付
④死亡した場合の遺族への給付 など
3. 労災保険特別加入手続きの流れ
労災保険に特別加入するためには、まず、本人が加入したい特別加入団体(同種の特定の事業・作業に従事する人で構成された団体)へ加入の申し込みを行います。その手続きを受けて、特別加入団体が所轄の労働基準監督署に「特別加入申請書」または「特別加入に関する変更届」を提出します。所轄の労働基準監督署長を経由して、最終的に都道府県労働局長が受理し、承認します。
なお、労災保険への特別加入に関する詳しい情報については、厚生労働省のサイトで確認できます。
厚生労働省「労災保険への特別加入」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/kanyu.html
まとめ
働き方が多様化する中で、労働者としてではなく個人事業主として働くことを希望する人や、副業・兼業を行うに当たり個人事業主として働く人が増えています。ただ、個人事業主は、自らの働き方を選択でき、仕事を選ぶことができるなど自由な面がある一方で、労働関係法令で守られている労働者と比べて、万が一の場合のリスクが大きいという面があります。雇用される働き方を選択するか、個人事業主としては働くことを選択するかを検討する際は、その点についても考慮することが大事です。
リスクマネジメントの観点から、労災保険の特別加入制度など利用可能な公的制度についての情報などを積極的に収集し、活用していただければと思います。
ニューノーマル時代の労務管理のポイントの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方