2018/04/17
ニュープロダクツ
大和ハウス工業は、建設現場の働き方改革の一環として、鉄骨の柱や梁(はり)にロックウール・モルタルを耐火被覆吹き付けするロボットを開発。9月に竣工予定の東京都江東区有明の同社グループのホテル「ダイワロイネットホテル東京有明」の建設現場で16日、ロボットを報道陣に公開した。通常3人の職人が必要な作業を2人ででき作業を3割省力化。作業時間も2割短縮できる。同社はロボット化などで現場の生産性を高めることで2021年までに週休2日となる4週8休を目指す。
これまで建設業の現場は「3K(きつい・汚い・危険)」と呼ばれ、全産業より1.2倍長い労働時間や、全産業の6割の生産性など課題が多い。こうした中、同社では現場の生産効率を高めるためBIM(3次元モデルによる設計・施工管理)、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、施工ロボットなどを積極的に活用するほか、資格や技能を積んだ職人を高い報酬で優遇する評価システムを導入するなど、働き方改革によって建設業界の労働環境を改善し、将来大幅な不足する労働力確保に向けた対策を急いでいる。
耐火被膜吹付工事は、一定規模以上の鉄骨工事では欠かせない作業だが、同時に材料が飛散するため夏場でも厚着を強いられる過酷な作業。現場からは無人ロボット化の要望が多数寄せられたため、同社はロボット化に着手した。
ロボットは走行台車・昇降台車・産業用ロボットアームの3つを組み合わせたもので、総重量1100kg。全幅1600mm、奥行2600mm、高さ2020mmだが昇降台によって最大3700mmまで高さは対応できる。
あらかじめロボットに構造柱・梁の断面寸法と長さを条件入力しておくことで、4本の柱で囲まれた構造スケルトン状態のスペースを内側から自動でロックウール・モルタルの吹き付けを完了する。これまでは、プラント操作・材料供給、吹き付け、コテ押さえ・検査と1チーム3人で作業していたが、吹き付けをロボットに任せることで、1チーム2人体制に削減できる。これにより職人手間を30%省力化。作業時間も約2割短縮できる。
また2019年度末までに同社が導入を掲げるBIMとも連動させることで、さらに作業時間短縮をめざす。ロボットは実証実験中の現段階では数千万円の設備費がかかっているが、同社現場への本格導入を目指す2019年には数百万円レベルまで削減させる計画。軌道に乗れば設備の一般販売も視野に入れる。
■ニュースリリースはこちら
http://www.daiwahouse.com/about/release/house/20180416111302.html
(了)
防災・危機管理関連の新製品ニュースリリースは以下のメールアドレスにお送りください。risk-t@shinkenpress.co.jp
リスク対策.com:峰田 慎二
ニュープロダクツの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/24
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方