写真を拡大 東京23区の3分の1で浸水被害を最悪想定している(出典:東京都港湾局および東京都建設局ホームページ)

東京都は3月30日、「想定し得る最大規模の高潮による浸水想定区域図」を策定した。最悪の場合、都内東部を中心に17区に浸水が広がり、23区の3分の1にあたる約212km2が浸水するという想定となった。

浸水可能性がある区は千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、北区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区の17区。浸水が想定される区域内の昼間人口は約395万人。

浸水可能性があるエリアは墨田区99%、葛飾区98%、江戸川区91%など、荒川や隅田川沿いの東部エリアが主。墨田区や江東区を中心に最大浸水深さ10m以上となる見込みで、墨田区や江東区のほか江戸川区や葛飾区などでも1週間以上浸水が続く見込み。

今回の想定は1934年の室戸台風級の中心気圧910hPa(へクトパスカル)で、1959年の伊勢湾台風級の時速73kmという、これまで日本に来た最悪の台風襲来を想定。この想定をまとめた都の港湾局と建設局によるとこのクラスの台風が東京湾周辺を通過する確率は1000~5000年に1度で、高潮と同時に河川の洪水も起こった最悪のケースだという。

都では今回の浸水想定を避難計画の策定への活用も想定している。国の方では内閣府を中心とした中央防災会議が3月に、主に三大都市圏を想定した複数の自治体にまたがるような高潮・洪水時の広域避難計画の策定手順をまとめた。モデルケースとして墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区の江東5区の大規模洪水の場合、178万人の避難が必要としている。内閣府では都や地元区を交えた協議の場を作る方針。

都では3月30日、神田川流域の浸水予想区域図も改定した。2001年8月に作成し、2003年7月に一部修正を行って以来、約15年ぶりの変更。想定時間最大雨量を114mmから153mmに変更。河川と下水道からの浸水を合わせて表示した。同27日には「東京都水害リスク啓発コンテンツ~大雨や台風から命を守るために!!~」と題した大人版と子ども版それぞれ30分程度の動画も作成。DVDを制作し、区市町村に配布するほか、「東京都防災ホームページ」にも掲載した。大雨や土砂災害などの避難に役立つ内容を掲載している。

■ニュースリリースはこちら
想定し得る最大規模の高潮による浸水想定区域図を作成
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/03/30/03.html

神田川流域の最大規模降雨による浸水予想区域図を改定
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/03/30/35.html

「東京都水害リスク啓発コンテンツ」を制作
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/03/27/26.html

■関連記事
複数自治体の洪水広域避難計画策定手順
http://www.risktaisaku.com/articles/-/5145

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介