2025/04/25
防災・危機管理ニュース
北太平洋中央部の地下深くで、海底から長年かけてマントル内に沈み込んだ昔の海洋プレートの先端が、外核との境界付近に到達している様子を東京大大学院理学系研究科の河合研志准教授らが解明し、24日発表した。地球内部を伝わる地震波を解析した成果で、論文は米地球物理学連合の専門誌「JGRソリッド・アース」に掲載される。
地震波は低温の物質内は速く、高温の物質内は遅く伝わる性質があり、この速さの違いから地下の構造を探ることができる。海洋プレートは海嶺(かいれい)と呼ばれる海底山脈で生成され、時間をかけて水平方向に移動して陸地の下や海溝などに沈み込む。今回解明した昔の海洋プレートは、約2億年前に北米大陸沖にあった沈み込み帯から沈んだ可能性があり、河合准教授は「プレート運動の歴史を復元するのに役立つ」と話している。
河合准教授と同大学院生大鶴啓介さん、ロバート・ゲラー東大名誉教授は、北米や日本など、北太平洋の周囲で発生した地震の波がマントル(高温高圧の岩石)を通り、外核(鉄などの金属液体)付近で反射するなどして、対岸の地震計で観測されたデータを多数解析した。
マントルと外核の境界付近では、太平洋などの下に周囲より温度が高い領域が分布しており、今回調べた昔の海洋プレートの先端はこの領域の縁に潜り込むような形になっていた。
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
- PFASの地下水調査、242地点で暫定目標値超過=環境省
- 4月都内物価、3.4%上昇=2年ぶり伸び、コメ最大―総務省
- 温室ガス排出、最少に=23年度、再エネ拡大で―環境省
- 昔の海洋プレートの先端解明=マントルと外核の境界付近―東大
- 自動車サプライチェーン混乱=米中が高関税応酬で
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方