北太平洋中央部の地下深くで、海底から長年かけてマントル内に沈み込んだ昔の海洋プレートの先端が、外核との境界付近に到達している様子を東京大大学院理学系研究科の河合研志准教授らが解明し、24日発表した。地球内部を伝わる地震波を解析した成果で、論文は米地球物理学連合の専門誌「JGRソリッド・アース」に掲載される。
 地震波は低温の物質内は速く、高温の物質内は遅く伝わる性質があり、この速さの違いから地下の構造を探ることができる。海洋プレートは海嶺(かいれい)と呼ばれる海底山脈で生成され、時間をかけて水平方向に移動して陸地の下や海溝などに沈み込む。今回解明した昔の海洋プレートは、約2億年前に北米大陸沖にあった沈み込み帯から沈んだ可能性があり、河合准教授は「プレート運動の歴史を復元するのに役立つ」と話している。
 河合准教授と同大学院生大鶴啓介さん、ロバート・ゲラー東大名誉教授は、北米や日本など、北太平洋の周囲で発生した地震の波がマントル(高温高圧の岩石)を通り、外核(鉄などの金属液体)付近で反射するなどして、対岸の地震計で観測されたデータを多数解析した。
 マントルと外核の境界付近では、太平洋などの下に周囲より温度が高い領域が分布しており、今回調べた昔の海洋プレートの先端はこの領域の縁に潜り込むような形になっていた。 

(ニュース提供元:時事通信社)