自社のBCPの実効性はどう評価すればよいのか(写真:写真AC)

コロナ禍においていざ災害が発生した際、今まで策定してきた BCPや危機管理施策は実効性を発揮するのか、また他の企業と比較して標準的なものになっているのか、そこを評価したいとほとんどの危機管理担当者が思うことでしょう。

BCPの内部監査については、私も毎年、講演や監査部門のサポートをさせていただいていますが、それはあくまで年度ごとの部分的なBCP作業項目評価です。今一度BCP全体をとらえ、総合的にどのような評価ができるのか、俯瞰性をもった自己評価方法が今回のテーマとなります。

BCPは一般に、リスクマネジメント(内部統制)から策定するプロセスと、いきなり策定するプロセスの2通りがあります。

前者はリスクマップに従い、重要度頻度分析を経て、危機管理としての優先度の高い重要項目のうち、外部要因にあたるものをBCP (例:震災、自然災害、感染症、テロなど)として策定します。この方法は常に優先度を頭に据えて構築していくため、行動フローに間違いが少ないのですが、ステップが多く、内部調整などに時間を要します。

一方、このようなステップを踏まず、主に重要顧客(外部)からの強い要請にもとづき、その重要顧客が作成したBCPチェックリストに回答できるような“設(しつら)え”として策定することもあります。必要だと指摘された事象への適合性を優先する方法なので、策定スピードに秀でます。ただ、適合性に重きが置かれるがゆえに、初動がおろそかになったり、流れに矛盾があったりと、全体を通して対応策がばらばらで有効性に届かない場合が散見されます。

自社のBCPの有効性をチェックする(写真:写真AC)

とはいえ、どちらにおいても、有効性は重要な課題です。

では、そのことを踏まえたうえで、今まで積み上げてきたBCPをどのように評価するか、という点を解説していきましょう。