2018/02/08
防災・危機管理ニュース

防災科学技術研究所は7日、第13回成果発表会を東京都千代田区の丸ビルホールで開催。約250人が出席した。気象災害が頻発したことから2017年の九州北部豪雨や栃木県那須町で発生した雪崩についてなど6つの発表が行われた。
冒頭、林春男理事長は「2016年度から新たな第4期中長期計画がスタートしている」とし、産官学連携のほか観測網や先進的研究施設の整備・共用促進、人材育成や防災行政への貢献などを念頭に鋭意取り組んできた旨を説明した。
研究発表は以下の通り
・2017年3月27日栃木県那須町で発生した雪崩災害に関する調査研究(雪氷防災研究部門部門長、気象災害軽減イノベーションセンター副センター長 上石 勲氏)
・首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクトの取り組み(審議役 髙島 哲夫氏)
・災害対応支援のための情報共有及び利活用基盤の開発(社会防災システム研究部門 副部門長、総合防災情報センターセンター長 臼田 裕一郎氏)
・地震防災のための共通情報基盤の構築を目指して(社会防災システム研究部門部門長、レジリエント防災・減災研究推進センターセンター長 藤原 広行氏)
・首都圏の地震防災力の向上を目指して(首都圏レジリエンス研究センターセンター長、東京大学地震研究所教授 平田 直氏)
三隅氏は九州北部豪雨で小河川である赤谷川に、利根川に匹敵する毎秒300t以上の水がピーク時に流れていたことを発表。現在の技術では雨雲の停滞といったような要素の判断が難しく、集中豪雨の予測が困難なことも説明された。
上石氏は高校生7人を含めた8人が犠牲となった那須町での雪崩事故で、防災科研の研究代表者として調査を行った。雪崩は表層雪崩で、原因となった弱層が低気圧の通過によって単純な形の結晶だったことなどがわかった。これまで低気圧の通過で雪崩の原因となる弱層が形成されることはあまり知られていなかった。上石氏は条件を組み合わせた、低気圧性の雪崩発生予測システムの発生システムを試作したことを発表した。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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