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本連載で9月に、欧州リスクマネジメント協議会(Federation of European Risk Management Associations:略称 FERMA)(注1)が発表した報告書を紹介した(注2)。これは2020年6月に発表されたものであるが、調査期間が1〜3月だったため、新型コロナウイルスのパンデミックによる影響が反映されておらず、報告書の序文にも「もし今日この調査を行ったら、その結果は異なる優先順位を示しただろう」と述べられていた。

今回報告する報告書は、そのFERMAが9月から10月にかけて、パンデミックの影響を受けた会員に対して改めて行ったアンケート調査の結果である。

調査はウェブ経由で匿名で行われ、21カ国の314人から回答を得ている。回答者の国別の内訳は、多い順にフランスが約3割、イタリアやスウェーデンが1割強、ドイツが1割弱などとなっている。業種で最も多いのは製造業で20%、次いでエネルギーや水道などのインフラが12%、ICT関連が9%、小売業が8%とのことである。

なお回答者の役割については、保険に関する責任者(注3)が39%、リスクマネジャー(注4)が34%となっており、かつ4分の1以上が保険に関する責任者とリスクマネジャーを兼ねているとのことである。なお、回答者における事業継続に関する責任者や実務者の割合は示されていない。

調査結果ではまずパンデミック以前の状況を尋ねた結果が示されている。これによると回答者の74%が、自組織にBCPが既にあったと回答している。しかしながら、自組織が想定しているリスクのリスト(注5)にパンデミックが含まれていたという回答は31%にとどまっている。