立入検査で問題のない病院はゼロだった

東京都は18日、「東京都医療安全推進協議会」の今年度第2回会合を開催。2016年度「医療法第25条第1項に基づく定例立入検査の実施状況報告書」を公表した。2016年5月から今年3月にかけて240病院に監視員が立ち入り、書類や現場確認を実施。全く問題のない「指摘・指導事項なし」はゼロだった。

実施対象となったのは(1)直近の立入検査が2013年度以前である病院(2)新規開設後もしくは大規模改築をした既許可病院で立入検査を実施していない病院(3)特定機能病院(4)その他。指導基準は、医療法での法令不備で文書により改善を指示する「指摘」、法令不備のうち軽微なもの、通知に対する重大な不備、他法令の不備を文書により改善を指導する「文書指導」、通知に対する不備などを口頭により改善を指導する「口頭指導」の3種類がある。不備が全くないのが「指摘・指導事項なし」。全240病院の指導基準の内訳は、受けた最も重い内容で分類して「指摘」が24.6%、「文書指導」が69.2%、「口頭指導」が6.3%だった(小数点以下の四捨五入で計100%にならない)。

指摘・指導内容で多かったのは「指摘」では「診療放射線」が10.4%、「病院管理・施設利用・院内掲示」が7.5%、「医療従事者数」が4.6%。「文書指導」では「個人情報」が50.0%、「職員の健康管理体制」が46.7%、「医療安全管理体制」が42.1%。「指摘」と「文書指導」の合計での最多は「個人情報」が51.3%、次いで「職員の健康管理体制」が46.7%、「医療安全管理体制」が42.9%。「文書指導」では「防火・防災体制」が37.9%あり、年2回以上の訓練未実施、消防計画の未届出、自衛消防訓練実施結果記録書の未作成などがあったという。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介