はじめに

~「副首都・大阪」が果たすべき「首都機能バックアップ」の役割~

大阪府と大阪市では、2017年に「副首都ビジョン」を策定し、首都・東京とともに東西二極の一極として日本の未来を支え、けん引する「副首都・大阪」の確立に向けた取り組みを進めています。

「副首都ビジョン」では、首都・東京の負担を軽減し、想定外の大災害にも対応しうる国土の強靭(きょうじん)化が必要という考え方のもと、大阪が副首都として果たしていくべき役割の一つとして、「首都機能バックアップ」を掲げており、国に対して大阪・関西を首都機能バックアップエリアに位置づけることを求めています。そして、企業の皆さまには大阪・関西での拠点強化や、災害時の本社代替機能の確保などをお勧めしています。

この連載では、企業などの東京一極集中の現状やリスクについて取り上げ、本社機能のバックアップの必要性について新型コロナウイルスの感染拡大の影響も踏まえながら解説します。また、実際に大阪・関西でバックアップ体制の構築に取り組まれている企業様の事例などもご紹介していきます。この連載が、企業の皆さまが「ポストコロナ」を見据えた本社機能の在り方や、バックアップ体制を構築される際の一助となれば幸いです。

第1回は、東京一極集中の現状と課題、災害リスク対策としての本社機能バックアップの重要性についてお話ししたいと思います。

企業などの東京一極集中の現状

わが国では、他の先進国に比べ、政治・行政・経済の中枢機能が過度に東京に一極集中しています。

人口も東京に一極集中(日本全土の0.58%の面積に全人口の約11%が集中)していることに加え、国内総生産(GDP)シェアで見ても国全体の約20%が東京に集中しており、アメリカ(8.1%)、ドイツ(12.5%)など他の先進国と比べても一極集中の割合が高くなっています。

画像を拡大 (出典:国土交通省『第1回企業等の東京一極集中に関する懇談会資料』を加工)
画像を拡大 (出典:各都府県「県民経済計算」より作成)

 

 

また、企業などの集積状況でも、上場企業の本社所在地では東京都が1992社と全国の半数強(51.6%)、外資系企業本社や大学の所在地でも東京都が最も大きなシェアを占めている状況です。