画像を拡大 (出典:UNDRR / Global Assessment Report on Disaster Risk Reduction 2019)

今回紹介させていただくのは、国連防災機関(United Nations Office for Disaster Risk Reduction:略称UNDRR)(注1) から昨年発表された「Global Assessment Report on Disaster Risk Reduction 2019」である。これは略して「GAR」とも呼ばれているが、世界での災害の発生状況や、災害リスク軽減策の実施状況などがまとめられたもので、2009年から1年おきに発表されている(注2)。

この2019年版の最大の特徴は、2015年に仙台で開催された第3回国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組2015-2030」(注3)で設定されている7つの目標に対する進捗(しんちょく)という観点で、災害リスク軽減策の実施状況が整理されていることである。

ちなみに、仙台防災枠組における7つの目標は、同じく国連が達成を目指している「持続可能な開発目標」(略称 SDGs)(注4)の目標とも関連している。本稿のトップに掲載した図は、仙台防災枠組の目標(A〜Gの7つ)とSDGsとの関係を示したものである。仙台防災枠組の方が先に採択されたということもあり、それぞれの目標が1対1で整然と結びついている訳ではないが、仙台防災枠組の目標が達成されることがSDGs達成にも寄与することが示されている。

図1は、仙台防災枠組の各目標に対する進捗状況が報告された国の数を示している(目標に対する進捗度合いではない)。例えば最も左の「A」は目標A(注5)に関する報告数で、その下に書かれている数字は、この目標に関するデータを提出した国の数である。データはUNDRRが運営している「Sendai Framework Monitoring database」(注6)に各国が入力することになっており、目標Aに関しては132カ国がまだ入力しておらず、18カ国が入力中、17カ国が確認待ち、28カ国が確認済みという状況である。

画像を拡大 図1. 仙台防災枠組の目標に関するデータの登録状況 (出典:UNDRR / Global Assessment Report on Disaster Risk Reduction 2019)