第113回:DDoS攻撃の発生状況とその実態(2020年上半期)
Link11 / Distributed Denial of Service Report First Half of 2020
合同会社 Office SRC/
代表
田代 邦幸
田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より複数のコンサルティングファームにて、事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。一般社団法人レジリエンス協会 組織レジリエンス研究会座長。BCI Approved Instructor。JQA 認定 ISO/IEC27001 審査員。著書『困難な時代でも企業を存続させる!! 「事業継続マネジメント」実践ガイド』(セルバ出版)
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本連載の第72回で、ドイツのITセキュリティプロバイダーであるLink11社による、DDoS攻撃(注1)の発生状況に関する調査結果を紹介させていただいた(注2)が、同社による最新の調査結果が2020年8月6日に発表されたので、本稿ではこちらを紹介したいと思う。
なお第72回で紹介した報告書は、2018年の1年間における発生状況をまとめたものであったが、今回発表された最新版は、2020年の上半期の状況をまとめたものである(注3)。具体的には2020年1月1日から同年6月30日までの間に、同社のオペレーションセンターがネットワークをモニタリングして収集したデータが用いられている。
本報告書ではまず、今年上半期のDDoS攻撃の背景事情として、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響が解説されている。これによると、パンデミックの影響で在宅勤務を含むリモートワークが増えたことで、2月の初めから4月上旬までの間、世界中のインターネットにおける通信量が40%増加したという。このように全体的に通信量が増えている状況で、比較的少ないデータ量によるDDoS攻撃でも十分な効果が得られるようになったということが指摘されている。
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