第109回:パンデミック後のサプライチェーンの未来
BCI / Covid-19: The Future of Supply Chain
合同会社 Office SRC/
代表
田代 邦幸
田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より複数のコンサルティングファームにて、事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。一般社団法人レジリエンス協会 組織レジリエンス研究会座長。BCI Approved Instructor。JQA 認定 ISO/IEC27001 審査員。著書『困難な時代でも企業を存続させる!! 「事業継続マネジメント」実践ガイド』(セルバ出版)
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BCMの専門家や実務者による非営利団体BCI(注1)は、国際物流大手DHLのグループ企業であるResilience360(注2)と共同で、2020年7月14日に「Covid-19: The Future of Supply Chain」と題した調査報告書を発表した。BCIはこれまでも会員を主な対象として、新型コロナウイルスへの対応状況に関するアンケート調査を多数実施して多くの調査報告書を発表しているが(注3)、今回紹介する報告書は、Resilience360との共同調査ということもあって、サプライチェーンに特に注目した調査内容となっている。
図1は新型コロナウイルスのパンデミックによる影響の度合いを、調達(supply)、物流(logistics)、需要(demand)の観点から尋ねた結果である。有害な影響(detrimental effect)は総体としては需要側よりも調達側の方でより大きくなっているが、非常に有害な影響(significant detrimental effect)はむしろ需要側の方が大きくなっているのが興味深い。
需要側で有益な影響(positive effect)があったと回答されたのは、ITおよび通信、製造業、輸送・物流業に多かったという。これらはリモートワークや宅配需要の増加、医療用資材の製造・配送などが影響していると考えられている。
なお別の設問で、物流における影響の度合いを輸送モード別(鉄道、トラック、海運、航空)に尋ねた結果を見ると、航空輸送における悪影響が最も大きかったという。これは旅客機の多くが運休となったために、航空貨物の輸送を貨物専用機を持つ物流会社に頼らざるを得なくなったからであろう。
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