写真を拡大 (出典:BCI / Covid-19: The Future of Supply Chain 表紙を加工)

BCMの専門家や実務者による非営利団体BCI(注1)は、国際物流大手DHLのグループ企業であるResilience360(注2)と共同で、2020年7月14日に「Covid-19: The Future of Supply Chain」と題した調査報告書を発表した。BCIはこれまでも会員を主な対象として、新型コロナウイルスへの対応状況に関するアンケート調査を多数実施して多くの調査報告書を発表しているが(注3)、今回紹介する報告書は、Resilience360との共同調査ということもあって、サプライチェーンに特に注目した調査内容となっている。

図1は新型コロナウイルスのパンデミックによる影響の度合いを、調達(supply)、物流(logistics)、需要(demand)の観点から尋ねた結果である。有害な影響(detrimental effect)は総体としては需要側よりも調達側の方でより大きくなっているが、非常に有害な影響(significant detrimental effect)はむしろ需要側の方が大きくなっているのが興味深い。

写真を拡大 図1. 新型コロナウイルスのパンデミックによる影響の度合い(出典:BCI / Covid-19: The Future of Supply Chain)

需要側で有益な影響(positive effect)があったと回答されたのは、ITおよび通信、製造業、輸送・物流業に多かったという。これらはリモートワークや宅配需要の増加、医療用資材の製造・配送などが影響していると考えられている。

なお別の設問で、物流における影響の度合いを輸送モード別(鉄道、トラック、海運、航空)に尋ねた結果を見ると、航空輸送における悪影響が最も大きかったという。これは旅客機の多くが運休となったために、航空貨物の輸送を貨物専用機を持つ物流会社に頼らざるを得なくなったからであろう。