2. 訓練の準備

訓練は、BCPが実際の災害時にも活用できるよう、その実効性を高めるためのものですから、訓練参加者の対応がうまくいくような設定やシナリオにするのではなく、むしろ計画そのものの課題や問題点が浮かび上がるように、準備を進めることが大切です。

訓練の準備に当たっては、次の点に留意するとよいでしょう。

(1)訓練の範囲とする項目
訓練の範囲をどこにするかは、訓練の規模や参加者に応じて決めましょう。特定の項目に絞る場合、また全体を通して訓練を行う場合などさまざまな形式が考えられます。

特定の項目についての訓練としては、安否確認や本部の立ち上げ、そしてライフラインの被災状況確認などがあります。また全体を通して訓練を行う場合でも、被災直後の初動場面、一定時間経過後の事業の復旧など、ある程度ポイントを絞ったほうがよいでしょう。

(2)訓練を実施する日程
訓練には、多くの従業員が可能な限り参加できることが望ましいわけですが、製造業などでは現場で生産を続けながら実施することになりますから、通常業務への影響も考慮して日程を決めましょう。

また災害は、従業員の数が少ない、あるいは全くいない夜間や休日に発生することも想定されますから、平日の日勤帯だけではなく、従業員のシフトが手薄になる時間帯を想定した訓練の実施も検討するとよいでしょう。

(3)訓練のシナリオには柔軟に対応する
BCPはあくまで計画ですから、実際の災害時にはBCPで想定されたことがそのまま起こるとは限りません。例えば、大会議室を対策本部として使うと決めていても、その会議室が地震の揺れで大きな被害を受けて使えないことがあります。また、それぞれの従業員が避難誘導や、初期消火などの役割を与えられていても、被災時にはケガをして自分の役割を果たせないことも考えられます。

訓練を進めるときには、BCPでの設定とは異なるシナリオを訓練参加者に示し、臨機応変な判断や対応が必要であることを理解してもらうことも必要です。

(4)近隣住民との連携
訓練は、地元の消防署などを含め行政機関と共同して行うことが重要ですが、それに加えて、近隣住民との連携も必要です。平常時から協力体制を確立しておき、企業と地域住民が一体となった訓練を行うことも検討しましょう。

【ここがポイント】

策定したBCPに足りない点や欠けている部分を見つけて修正するためには、訓練を実施することが極めて重要です。

1. 訓練を繰り返すことで、従業員の災害対応能力が高まる
2. 訓練の実施日程は、通常業務への影響も考慮して決める
3. BCPの想定とは異なる訓練シナリオを提示し、参加者の臨機応変な対応を促すことも重要である