人事、財務、情報などの業務は減らせず

こうした対策が進む一方で、事業継続への取り組みはどのような状況だったのか。人事、財務、契約、情報、広報、営業、生産の各機能について聞いたところ、「原則通常通り」と「三密避け通常通り」を足した回答が50%を上回るものもあり、なかなか業務量を減らせない現場の厳しい実態が浮かび上がった。特に財務(決算処理)、契約(取引・契約)、情報(既存インフラ・保守の実施・テレワークのサポート)については、「三密避け通常通り」が4割を超える。生産については、「非該当」が多く、受注そのものが大きく減って稼働レベルが下がっていることや、休業などが進んでいる状況がうかがえる結果となった(グラフ4)。

対策本部設置が最多

自然災害への対応と似た結果になったのは対策本部の設置だ。 調査では、組織の意思決定機能を支える対策本部会議の開催状況についても聞いたところ、対策本部会議については執行部や役員を含む対策本会議を実施しているとの回答が63.9%と突出して高くなった。他方で、依然として担当部局任せになっていたり、特に対策本部を開いていない組織も一定程度あることが分かった。

また、専門家の意見をどの程度取り入れているかも聞いたところ、国の専門家会議の意見などを参考にしているとの回答が突出して高かった。各組織とも産業医はいるはずだが、感染症対策については自社の中にほとんど専門家を入れられていない実態が浮かび上がった(グラフ5・6)。

 
 

(続く)

 
本記事は、BCPリーダーズ6月号に掲載した内容を連載で紹介していきます。
https://bcp.official.ec/items/30028915