2017/08/04
防災・危機管理ニュース
東京都は3日、今年度第1回「東京都商品等安全対策協議会」を開催。今年度は子どものベランダからの転落防止について取り組むこととなった。保護者へのアンケートや手すりに関する実験を行い、2018年2月をめどに報告書を作成。消費者への注意喚起のほか国や業界団体への情報提供と要望を行う方針。
同協議会では特定の商品を対象とした安全対策の研究を毎年度実施。2006年度以降は子ども用衣類やライター、ブラインドひも、抱っこひもといった子どもを守るための研究が多い。今年度は学識経験者のほか、建築・建材の業界団体の関係者、オブザーバーとして国土交通省、経済産業省、消費者庁も参加して子どもとベランダについて研究する。
都の調べによると、2007年以降ベランダからの転落で救急搬送もしくは受診した12歳以下の事例は145件。軽症は25%に過ぎず、中等症46%、重症19%、重篤8%と約7割は入院を要する事例。死亡は2件で2%。住宅での発生が75%を占める。
子どもの年齢は2歳が最も多く29件、次いで3歳が22件、4歳が16件。階数は2階が79件で次いで3階が28件。事故につながる動作は現場を目撃しているケースは少なく、不明が119件。事故につながる動作がわかった26件のうち、手すりの上を越えたのが23件で最多。そのうち足がかりとなるものが置かれていたケースが7件で、エアコンの室外機などによじ登って手すりを越えてしまい転落している。
東京都では2016年度の住宅着工戸数の3分の2が共同住宅であることが示すように、上層で生活するケースが多い。都は今後、1~12歳までの子どもを育てている保護者を対象としたアンケートや、足がかりを設置した手すりで子どもが自分の力で体を持ち上げられるかという実験を諸条件で実施。データの取得に努める。
同協議会の越山健彦会長(千葉工業大学教授)は、「子どもの身の周りのリスクは保護者の注意や法規制を単に守るだけでは不十分。ベランダからの落下も様々なアプローチから調べ、事故減少につなげたい」と述べた。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/01/07
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/01/05
-
-
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方