東京でのベランダからの子どもの転落は7割は入院を要している

東京都は3日、今年度第1回「東京都商品等安全対策協議会」を開催。今年度は子どものベランダからの転落防止について取り組むこととなった。保護者へのアンケートや手すりに関する実験を行い、2018年2月をめどに報告書を作成。消費者への注意喚起のほか国や業界団体への情報提供と要望を行う方針。

同協議会では特定の商品を対象とした安全対策の研究を毎年度実施。2006年度以降は子ども用衣類やライター、ブラインドひも、抱っこひもといった子どもを守るための研究が多い。今年度は学識経験者のほか、建築・建材の業界団体の関係者、オブザーバーとして国土交通省、経済産業省、消費者庁も参加して子どもとベランダについて研究する。

都の調べによると、2007年以降ベランダからの転落で救急搬送もしくは受診した12歳以下の事例は145件。軽症は25%に過ぎず、中等症46%、重症19%、重篤8%と約7割は入院を要する事例。死亡は2件で2%。住宅での発生が75%を占める。

子どもの年齢は2歳が最も多く29件、次いで3歳が22件、4歳が16件。階数は2階が79件で次いで3階が28件。事故につながる動作は現場を目撃しているケースは少なく、不明が119件。事故につながる動作がわかった26件のうち、手すりの上を越えたのが23件で最多。そのうち足がかりとなるものが置かれていたケースが7件で、エアコンの室外機などによじ登って手すりを越えてしまい転落している。

東京都では2016年度の住宅着工戸数の3分の2が共同住宅であることが示すように、上層で生活するケースが多い。都は今後、1~12歳までの子どもを育てている保護者を対象としたアンケートや、足がかりを設置した手すりで子どもが自分の力で体を持ち上げられるかという実験を諸条件で実施。データの取得に努める。

同協議会の越山健彦会長(千葉工業大学教授)は、「子どもの身の周りのリスクは保護者の注意や法規制を単に守るだけでは不十分。ベランダからの落下も様々なアプローチから調べ、事故減少につなげたい」と述べた。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介