従来の除却費用に加え、引っ越し費用なども助成対象になる(出典:東京都都市整備局ホームページ)

東京都は3日、木造住宅密集地域で不燃化特区に指定されているエリアにおいて、老朽建築物を除却する場合に、所有者もしくは借家人に住み替えに必要な費用について区を通じて助成すると発表した。木密地域の不燃化と東京の防災対策を助成強化でさらに進めていく。

都では地震が起こった際に延焼や倒壊を起こしやすい木密地域約6900haを整備地域として、建物の建て替えなどにより不燃化を進めるとしている。その中で区と連携し、不燃化特区53カ所・約3200haを指定。老朽建築物の除却費用や建て替え住宅の設計費や工事管理費の助成、除却後の更地や建て替え後住宅の固定資産税・都市計画税の最長5年間の減免を行っている。

助成されるのは転居一時金、居住用家財移転費、家賃3カ月分。転居一時金は引っ越し先の賃貸住宅の敷金や礼金など、居住用家財移転費用はいわゆる引っ越し費用となる。借家人の場合、建物所有者が賃貸先の住宅を除却するのが条件となる。

住み替え先が整備地域内または不燃化特区内の老朽建築物の場合は助成対象外となるほか、住み替え先が民間賃貸住宅以外の場合は引っ越し費用のみが助成対象となる。区によって助成額は異なるが、都が試算した一例として、2人世帯が80㎡の老朽化住宅を除却し、民間賃貸住宅に住み替えた場合、従来の除却費を対象とした200万円からさらに50万円上乗せの計250万円となる。区が住民に助成し都はその半額を区に補てんする。

木密地域不燃化では高齢者を中心に、住民の除却や住み替えのための費用負担がネックとなっている場合が多い。住み替え費用の助成で、さらなる不燃化に注力する。2016年度現在の整備地域における不燃化領域率は62%。都では2020年度に70%にすることを目標としている。

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(了)