「こんな町で、大規模な訓練が行われているとは思わなかったですよ」
私たちの活動を取材してくれた、直木賞作家の天童荒太さんから出た素直な感想でした。
SANKEI EXPRESSに連載されていた天童荒太さんの「だから人間は滅びない」その最終回(2014.11.29号)で、私たちの杉戸式協働型災害訓練を取り上げてくださいました。その取材の中で天童さんが発した言葉でした。まあ、確かに言われてみれば…です。
■【だから人間は滅びない-天童荒太、つなげる現場へ-】対談を終えて 「つながる」ことは「備える」こと (SANKEI EXPRESS/2014.12.5日付)
http://www.sankeibiz.jp/express/news/141205/exg1412051900010-n1.htm
その時に最終ページのタイトルとして付けてくださったのが、この連載のタイトルでもある『「つながる」ことは「備える」こと』でした。私たちは訓練を通してまさにそれを実行していたし、天童さんの取材を受けて以降、この言葉は私たちのキャッチフレーズにもなりました。だからこそ、今回の連載においてタイトルを決めるべく悩んだ時、いち早くこの言葉が頭に浮かびました。そこで天童さんにこのフレーズをタイトルに使わせて頂く許可を求めたところ、快諾してくださいました。ありがとうございます。しかも連載にあたり、ご本人からメッセージも寄せて頂きましたのでここでご紹介します。
どれだけ頑強な設備を整えようと、高価な機器を揃えようと、人智をこえる災害を我々は止められない。
最もシンプルで有効な備えは、人と人がつながっていることだ。
普段から人がつながっていれば、万が一の時〈すぐに〉救助に向かえ、必要な支援ができ、逃れてきた人を迎えられる。長い避難生活の末の孤独死や、避難先での差別やイジメなどといったものの多くも避けられる。
万が一のことが起こらなくても、人と人とのつながりは、祭りやイベントなどを通して、出会いや笑顔や語らいを生む。冷たい壁をいくら高くしたところで見いだせない、新しい生命の誕生の可能性さえはぐくむだろう。
競争と効率化による経済的成長の面ばかりを求めつづけてきた結果、隣の人と手をつなぎ合うという、まっすぐに人間の幸せにつながる簡単な手立てが、いま最も難しい行為になってしまった。杉戸の方々の協働型災害訓練の試みは、防災の面だけで有効なのではない。彼らの行動のかなたに見えるのは、温かな笑い声が響き合う誰にとっても心地よい社会であり、共に支え合って生きてゆく人間力の回復である。
天童荒太
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