学生の人気は「シャープ」から「わかさ生活」へ
第12回:採用広報としての企業公式アカウント

吉野 ヒロ子
1970年広島市生まれ。博士(社会情報学)。帝京大学文学部社会学科准教授・内外切抜通信社特別研究員。炎上・危機管理広報の専門家としてNHK「逆転人生」に出演し、企業や一般市民を対象とした講演やビジネス誌等への寄稿も行っている。著書『炎上する社会』(弘文堂・2021年)で第16回日本広報学会賞「教育・実践貢献賞」受賞。
2024/10/11
共感社会と企業リスク
吉野 ヒロ子
1970年広島市生まれ。博士(社会情報学)。帝京大学文学部社会学科准教授・内外切抜通信社特別研究員。炎上・危機管理広報の専門家としてNHK「逆転人生」に出演し、企業や一般市民を対象とした講演やビジネス誌等への寄稿も行っている。著書『炎上する社会』(弘文堂・2021年)で第16回日本広報学会賞「教育・実践貢献賞」受賞。
大学の私の講義では、リアクションペーパーに講義の感想と質問+講義内容に関連したお題について書いてもらって、次の回に紹介しています。毎年、広報論では、知っている企業公式アカウントをあげてその印象を答えてもらう回を設けているのですが、長い間、学生があげてくる企業公式アカウントは圧倒的にXの「シャープ株式会社」(https://x.com/SHARP_JP)でした。
Twitterなどソーシャルメディアの企業公式アカウントが、フォーマルな製品告知だけでなく、カジュアルにコミュニケーションを行うことが注目されるようになったのは2010年ごろのこと。普通はお硬い「公式アカウント」が柔らかいのがおもしろいということで「軟式アカウント」と呼ばれていました。
シャープはそのようなアカウントの代表的な例で、大学生にも広く認知されていました。
それが、今年度は「わかさ生活」(https://x.com/WAKASASEIKATSU)がほぼ一強となり、シャープを挙げる学生はいませんでした。
わかさ生活は、ブルーベリーのサプリメントを主軸にした、中高年向けの商品を売っている企業です。わかさ生活広報は、なぜか馬のかぶりものをかぶっておもしろ方向にキャラを立て、他の企業との絡みも積極的に行うなど、さまざまな取り組みをしているようです※1。
※1「新卒1年目で公式X(旧Twitter)担当。人気のわかさ生活アカウントは、どうフォロワー数を伸ばしたのか」(Agenda Note)
https://agenda-note.com/brands/detail/id=5658
調べてみると、Xのフォロワー数ではまだまだシャープの方が多いようです。
それにしても、どうしてシャープの名前が上がらなくなったのでしょう。きちんとしたアンケートではありませんが、毎年100名前後が受講している講義なので、それなりにトレンドは反映していると思います。
以上のような状況を説明した上で、次の講義で「シャープを挙げなくなったのはなぜだと思うか」「わかさ生活のどこが人気なのか」を訊ねてみました。
共感社会と企業リスクの他の記事
おすすめ記事
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/25
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方