世界的に進む都市化は洪水の増加にもつながる(写真は2015年の鬼怒川水害で被害を受けた茨城県常総市)

近年における世界情勢は、政治、経済、社会、全ての面で流動化しています。2017年に顕在化するであろう10のリスクを、以下の通り予測しました。前回に引き続き、一つずつ解説を行います。

【2017年グローバルリスク予測】
1.グローバリゼーションの更なる進展と世界的な社会的不安の拡大
2.欧州諸国における右傾化傾向の高まり
3.国際機関の更なる機能低下
4.中国情勢の不安定化
5.朝鮮半島情勢の緊張化
6.中東情勢の不透明化
(シリア・イラク・トルコ・サウジアラビア・イラン等)
7.米国の国際的なプレゼンスの低下
8.ロシアの孤立化
9.Homegrown Terrorist/Lone Wolf Terroristによるテロの増大
10.自然災害の増加・新たな感染症の発生

【予測されるリスク】
・自然災害が世界的に増加
・特に新興国での洪水被害が拡大
・新規の感染症の発生の可能性
・パンデミックの可能性等

【背景等】
2017年においても世界的に自然災害が増加すると予測されます。特に新興国での洪水被害の拡大が予測されます。

人間の活動と自然災害の規模は関係があることから、世界的な人口増加傾向、都市化傾向に伴い、自然災害は増加することとなります。現状(2015年)の世界の人口は73億4947万人ですが、これが2100年には112億1332万人に達すると予測されていることから、確実に自然災害の件数は増加すると言えます。

特に人口増、内陸部から沿岸部への人口移動、都市化の進行等が顕著である新興国において、必然的に自然災害は増加することとなります。自然災害の中では都市化・都市開発の進展等に伴い、河川の河口地域の水はけが悪化しており、新興国を中心に洪水(内水型洪水)のリスクが大幅に拡大しています。

新規の感染症も含め、感染症リスクは2017年においても大きなリスクになると予測されます。場合によっては大規模感染(パンデミック)の可能性も否定できない状況です。

感染症拡大の要素としては、病原体・宿主・感染経路の3点があるとされています。世界的に衛生状況は改善されていますが、人口増、グローバル化の更なる進展に伴い感染経路が多様化し、宿主要因も多様化しています。また、日々進化する病原体(ウイルス)の要素を加味すると、2017年においても世界的な感染症リスクの顕在化は不可避であると言えます。

※当連載は今回で終了します。

(了)