第19回:「避難」をめぐるBCP的考察(1)
訓練以外に大事な整理整頓
BCP策定/気候リスク管理アドバイザー、 文筆家
昆 正和
昆 正和
企業のBCP策定/気候リスク対応と対策に関するアドバイス、講演・執筆活動に従事。日本リスクコミュニケーション協会理事。著書に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP 』(日刊工業新聞社)、『リーダーのためのレジリエンス11の鉄則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身 (ヤマケイ新書)』(山と渓谷社)など全14冊。趣味は登山と読書。・[筆者のnote] https://note.com/b76rmxiicg/・[連絡先] https://ssl.form-mailer.jp/fms/a74afc5f726983 (フォームメーラー)
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■BCPにおける「避難」の意義
災害が発生した時、BCP(事業継続計画)の最も初期の行動として重視されるのが、「いかにして社員の命を守るか」に関する手順、いわゆる初動対応や緊急対応と呼ばれるステップである。従来的な表現で言うところの「防災マニュアルに記載された手順」のことだ。
いかにして社員の命を守るかと言っても、危機を脱するという行為は災害リスクに対する社員一人一人の日頃の警戒感と緊急時の自主的な行動力にかかっている。災害弱者(高齢者や障がいや持病のある人、外国人など)は別として、スーパーマンが守ってくれるように会社が自分の命を守ってくれるものと期待してはいけない。
自分の命を守る最初の行動は、目の前の危険から遠ざかる、つまり「避難する」ことである(状況によってはその場にとどまる方が安全な場合もあるが)。従業員が避難を終え、点呼をとって全員の無事が確認できてはじめて足並みが揃い、次のステップに移ることができる。
避難がうまくいかず、一人でもけが人や行方不明者、あるいは最悪の場合亡くなる人が出たりすると、その組織のモチベーションは一気に落ち込むだろう。そして、たとえそうした出来事が会社にとっては寝耳に水、不可抗力で避けられないものであったとしても、下手をすると防災上の落ち度があったのではないか、安全配慮義務を怠ったのではないかと当局から疑いをかけられることにもなりかねない。
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