第17回:情報収集と情報発信のポイント
情報発信は取引先の安心に
BCP策定/気候リスク管理アドバイザー、 文筆家
昆 正和
昆 正和
企業のBCP策定/気候リスク対応と対策に関するアドバイス、講演・執筆活動に従事。日本リスクコミュニケーション協会理事。著書に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP 』(日刊工業新聞社)、『リーダーのためのレジリエンス11の鉄則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身 (ヤマケイ新書)』(山と渓谷社)など全14冊。趣味は登山と読書。・[筆者のnote] https://note.com/b76rmxiicg/・[連絡先] https://ssl.form-mailer.jp/fms/a74afc5f726983 (フォームメーラー)
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■緊急時の情報収集のポイント
前回、BCPにおける対策本部の活動の要は、突き詰めれば「情報力」にあると述べた。「意思決定に必要な情報をコンスタントに集める」とともに、「事業を取り巻く利害関係者に向けて適切な情報をタイムリーに発信する」という双方向の活動が中心となる、ということである。今回は緊急時における情報を取り巻く基本的な活動を少し掘り下げてみたい。
どの会社にとっても最優先で取り組むべきは「安否情報の収集」であろう。今日ではさまざまな安否確認方法がある。音声、メール、SNS(LINEなど)、あるいは災害用伝言ダイヤル171のようなパブリックな方式。いずれの方法を採るにしても、基本は従業員の安否をもれなく確認する仕組みを持つこと。そして素早く集計できるように「安否確認シート」を事前に作成しておき、だれもが見られるようにボードなどに掲示することが必要である。
次に「被災情報の収集」。これは社内と社外の二つがある。社内の被災情報とはライフラインやIT、生産設備、建物、駐車場などの被害状況の把握である。運が悪ければ建物に立ち入りできないこともあり得るが、この情報収集が滞ると二次災害の拡大や復旧の遅れ、重要客先への連絡の遅れ、事業再開の遅れにつながるので注意しよう。情報の集約と共有のためにも「被害状況確認シート」は不可欠だ。
社外については周辺道路、公共交通機関の運行状況に関する情報収集。これらがまひすると、人や物資の移動ができなくなるので、手分けして情報収集活動に当たらなければならない。
一方、大規模災害では近隣の得意先や原材料・商品の仕入先、物流業者の被害状況も気になるところ。こうした利害関係先の情報をいち早く入手し、その後のビジネスへの影響を探り、対策に生かすことも忘れてはならない。近場ならば徒歩や自転車、バイクで様子を見に行くことも可能だろう。最後に社員の復旧活動に不可欠な食料や水、そして災害復旧段階では車両を使用する機会が劇的に増えるため、燃料をどこから確保できるかなど、複数の調達先の情報を得られるように工夫すること。
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