第80回:企業活動にかかわる様々なリスクを経営層や監査役がどのように認識しているのか
The Institute of Internal Auditors (IIA) / OnRisk 2020: A Guide to Understanding, Aligning, and Optimizing Risk
合同会社 Office SRC/
代表
田代 邦幸
田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より複数のコンサルティングファームにて、事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。一般社団法人レジリエンス協会 組織レジリエンス研究会座長。BCI Approved Instructor。JQA 認定 ISO/IEC27001 審査員。著書『困難な時代でも企業を存続させる!! 「事業継続マネジメント」実践ガイド』(セルバ出版)
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11種類のリスクへの認識度合い
米国に本拠地を置く内部監査人協会(The Institute of Internal Auditors:IIA)(注1)は、2019年10月に調査報告書『OnRisk 2020: A Guide to Understanding, Aligning, and Optimizing Risk』を公開した。これは2019年6月に、北米地域の企業の取締役、役員、および監査役を対象として実施された調査の結果をまとめたもので、次の11種類のリスクに対する、調査対象の方々の理解度合いや認識状況が分析されている。
- Cybersecurity:サイバーセキュリティ
- Data protection:データ保護
- Regulatory change:法規制の変化
- Business continuity / Crisis response:事業継続/危機対応
- Data and new technology:データおよび新しいテクノロジー
- Third party:外部への業務委託
- Talent management:有能な人材の確保
- Culture:企業文化
- Board information:取締役への情報開示
- Data ethics:データの取扱いにおける倫理
- Sustainability (ESG):サステイナビリティ(ESG)
本稿のトップに掲載した図は、上の11種類のリスクに対する取締役(Board)、役員(C-suite)(注2)、監査役(CAEs)(注3)の認識状況の違いを表している。3つのグラフの縦軸(Knowledge)は11種類のリスク(黒い点で示されている)それぞれに関する知識をどの程度持ち合わせているか、横軸(Capability)はそのリスクに対する自社の対応力がどの程度だと認識しているかを表している。
ここで、左側の取締役のグラフと中央の役員のグラフとの間で黒い点の分布を比べると、取締役のグラフのほうが全体的に右側に広く分布していることが分かる。これは役員に比べて取締役のほうが、様々なリスクに対する自社の対応力に関して楽観的な傾向にあることを示している。
また、グラフが4色に色分けされているが、これは各種のリスクに対してそれぞれ次のような段階にあることを示している。
[r:Recognize(認識)]
リスクが認識されているが、ステークホルダーはそのリスクに関する知識をあまり持っておらず、リスクに対応するための施策なども実施されていないような状態
[e:Explore(探索)]
リスクに関する理解が進みつつあるが、リスクに対応するための施策などはまだ検討中の状態
[d:Develop(開発)]
少なくとも経営層の間ではリスクに関して十分理解されており、リスクに対応するための施策などが開発されているか、もしくは既に導入されているような状態
[m:Maintain(維持)]
全ての関係者の間でリスクが十分理解されており、リスクに対応するための施策などが導入され、施策の効果がモニタリングされている
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